シナリオ=C|グラフィック=A|キャラ=B|音楽=C|総合評価=C
もはや「キャベツ」とイコールになってしまった感のある、「夜明け前より瑠璃色な」ですが。原作ファンが怒るのも仕方ない、と思えるほどの原作の出来の良さです。
ディスクレス、非アクティブ時動作どちらも可。OPムービーは2種類あります。どちらも音楽はちょっと……ムービーはいいんですけどね。クリア制御あり、最初はフィーナのみです。このクリア制御にあまり意味はなかったように思いますが。
そしてCG。素晴らしいですねぇ……アニメ感想の方でも書きましたが、原作ファンが怒るのも当然、というくらいに素晴らしいイラスト。アニメとゲームでは当然絵の質が変わるわけですが、ここまでいい絵だとそもそもアニメ化は難しかったんじゃないかと思います。
ではまずフィーナ。アニメで大体の設定はわかっているんだけど、改めてゲームをやってみるとフィーナとミアは留学で来るんだよなあ。ってことは別れ前提なわけで、その辺でひと揉め作るんだろうか。
最初はフィーナや主人公、他のキャラクターの口調がぎこちない。丁寧語だったり敬語だったり。王女様だから、というリアリティなのか。途中でその口調を変えるきっかけとなるイベントがあるんだろうと思っていたらその通り。そこまでが少し長く感じたけど、あまりすぐに打ち解けてしまうのも不自然だろうし、こんなものかも知れない。
特に悪いところはないんだけど、コレと言って突出している部分もない、そんな気がしますねぇ……心情描写も過不足ないし、身分の違いってとこでの葛藤も同様。カレンがフィーナと達哉の試合を決めたとこで、すぐに「勝ち負けは関係ないってところが落ちかな」とわかってしまったのが難と言えば難かも。
決して悪くはない。達哉もヘタレてないし、それなりにワクテカな展開でもある。フィーナがちょっと王女様過ぎる、って難点はあるけれど、全体としてはいい出来なんじゃないでしょうかね。ただ、萌え要素は一切ない。
フィーナ攻略後、リース以外のルート開放。
さて誰をやろうか……って、そりゃ幼馴染と義妹とメイドは最後まで取っておかないとね。
ということで、悩むことなく姉さんことさやかルートに決定。さくさく進めていく……って、何だか達哉がさやかへの思いに気付くってのが唐突な気がしますが?くっつくまでをダラダラやるよりいいか、ってことでこちらもサクサクと。
……うぅむ……フィーナ同様、可もなく不可もなく。というより、途中までは達哉がかなりしっかりしてるし、良作じゃないかと思っていましたが、最後の最後でさやかが月政府の「顧問」に、ってのはちょっとどうかと。
いや設定厨じゃないのであまり言いたくないんですけど、さやかが月への留学を最終的に承諾したのって、博物館館長として知識と理解を深めたいからじゃなかったっけ?政治とは無関係のはずなんですが……それならそれで、もうちょっと月と地球の関係とかをきっちり描写してくれてれば、月への留学経験者がどれほど重要かとかも納得できると思うんですけど。
とは言え、良作であることは間違いなしです。ここまでの2人だけでも、全体的にいいので細かい欠点が目に付いただけで、「つよきす」「Parfait」「家族計画」ほどじゃないにしても、少なくとも「オレンジポケット」「もしも明日が晴れならば」よりは断然いい。
もうね、このメイド服のデザインだけでもご飯3杯はいけますですよ、ええ。髪型といい服装といい、完璧ツボですな。期待値はもうプレイ前から天上知らずで上昇中ってな感じw
7月9日、海水浴。水着姿は他のルートでも出てたけど……やはり、本人のルートで見ると、この恥じらいがイイ!
7月19日。買い物の際の私服、というか帽子がGiftの霧乃んぽいw
7月20日。達哉を品定め(?)するフィーナ。うん、やはりミアはちゃんとフィーナを含めて全員から祝福されて、じゃないとねぇ。
さやかルートでも思ったけど、各ヒロインのルートでは他のキャラから達哉への気持ちってのはあまり出ないみたい。唯一、フィーナのルートで菜月がちょっと出したくらいかな。
先の2人と同じく、特別なきっかけがあるわけでもなく自然と。
>ああもうっ、かわいいなあ、ミアは。
わかる、わかるぞ達哉。でも、何だかこのルートの達哉はどうも性質の悪いジゴロのようだw
月に帰ることから絶対的に逃れられないフィーナの場合は話は簡単で、単純に達哉次第ってことなんだけども、お付のメイドであるミアはそうはいず、そこがこのミアシナリオの山場なわけで。帰りの空港で、「おいおい、こんな終わり方かよ」と思ったけど……
思ったけど。
やってくれるじゃん、オーガスト!
いいよコレ!いいっ!やはりミアシナリオはこう終わらせてくれなくちゃ、というまさしく理想通りのエンディングに大満足。まあ、それは言ってみれば途中で「こうなるかな」との予想通りだったってことでもあるわけですが。でも、いいものはいいのです、ええ。
うむ。面白い。
これは面白い、純粋に面白い。
特にダイエットの辺りはなかなかコミカルで宜しい。やはり菜月は最後にとっておくべきだったか、と少し後悔の念が湧くほどに。明るくて世話焼き、いやいやこれはもうギャルゲ理想の幼馴染像でしょうw
何と言うか、月からお姫様がホームステイに来るという特殊な設定下でのフィーナとミアの話も良かった(特にミア)けど、こういう普通の学園モノの方が落ち着くわけですよ。特に菜月のキャラクターがいいせいか、明るいけどがちゃがちゃしてない学園モノって感じで。ようやく翠にも出番が回ってきたし。「約束」が今回のキーワードなのか?
お約束の「あーん」も出て、ここまでのシナリオよりも他キャラの出番もありありな、いい雰囲気。しかし、これまた予想通りの「大学、遠いんだ」。うーむ……山が全部「別れ」っていうのもちょっと味気ないというかワンパターンというか。もうちょっと別の問題にしても良かったんじゃないかなあ。
翠がここまで殆ど出番なしだったこともあって、いったいどんな役割を果たすのかと思いきや……ちょっと奥さん、翠ってばなんかいい子じゃありませんですのことよ?(どこの言葉だ)。サブキャラが魅力的であることがシナリオが生きる源だと思うのであります。ですので、この遠山翠はとてもよろしいと思うのです。
翠以外でも、このシナリオでは脇キャラが光ってますねー。仁にしても麻衣にしても、あとはフィーナも。あ、そう言えばこのゲーム夏休みが中心なせいか学校での男友達ってのが出てませんね、どーでもいいことですが。
「約束」「記憶」がキーとなっていたこのシナリオも、他と同じく何となく予想通りのエンディングまでの流れ……うーん、やっぱりどこか可もなく不可もなく的なのはそういうとこかな。達哉は附属の月学部へ、菜月は予定通り遠くの獣医学部へ。シナリオの途中は良かったんですが、もっと強引に攻めてもいいんじゃないかという気がする。フィーナからさやか、菜月と正論だけで進めて最後までそれだけ。唯一、ミアだけが自分たちの気持ちを優先させたというか……これもフィーナの気遣いあってのことだけど。
「別れ」がキーになりそうにない、麻衣シナリオに最大の期待をかけて、いよいよ義妹ですよ。……ならないよね?
と不安を押し殺しつつ、いやだってここまで正論だけで押し通されるとどうも不安で。まずわかる、麻衣と達哉の関係。麻衣の両親のこと。衝撃の事実ってほどでもないんだけど、気になるのは麻衣が養子であることをさやかにすら隠しているのはどうしてなのか。事情としては単に麻衣の両親が死んで、達哉の両親が引き取ってそのまま養子にした、というこの手の義妹系ではよくある事情なので、この「隠している」ことが恐らく鍵なんだろうなあ。
……それにしても、「堂に入った粘りだと思うわ」ってフィーナさん、あなたw納豆の粘りを誉められて嬉しいものなんだろーか?
ていうかですね。
ちょっと、麻衣ってばやっぱり最高に可愛くありませんですことよ?(だから誰だよお前は)
貸しを返してもらうのに、前みたいにフルートの練習に付き合って欲しい、だなんてもう、あーた、なんてイジラシイっ!そりゃ達哉も他のルートより早く自分の気持ちに気付くわけですよ。で、それをひた隠しに隠し続けようとするわけですが……やっぱ、養子であることを隠す約束ってのが鍵ですよねぇ。何でだろ?
ここでも仁がいい仕事してますねー。麻衣から逃げる達哉に「まるで、何かから逃げようとしているかのようだ」
当たり前だけれど、月人のシナリオには関われない分、菜月と麻衣のシナリオでは随分と出番って頑張ってます。フィーナもまた。「達哉はいつも、麻衣を探しているのね」。脇キャラが光ってるシナリオってのは、やっぱりいいものです。
いよいよお互いの気持ちを打ち明け合う段階になって、隠そうとしたことの、何かしらの理由が聞けるのかっ?!と身構えていると……
あれ?特別な理由はないんだ。
んーでもまあ、何もかも、麻衣が可愛いから許す。ていうか、もう何でもいいや。シナリオだの音楽だのはどーでもいいとですよ。麻衣というキャラの存在だけですべてはもうOK。それにアレですね、やっぱこの手のキャラに安玖深音さんはぴったりですねぇ。
健気で一途な義妹キャラは「はぴねす!」のすもも役でもそうでしたが……ほんと、この手のキャラは最高。
さやかに打ち明けた後で、ぎくしゃくした家族について悩む達哉にアドバイスする仁。ここでも、これまでの正論シナリオだったらさすがにウンザリというか、折角のここまでの麻衣シナリオの良さが激減だと思っていたら、変に説教するでもない仁。うん、素晴らしい。素晴らしすぎる。やはり周りの人々がいいと、シナリオ全体が生きるなあ。何となく達哉と麻衣、というよりは、さやかが主人公のような気もしますがw
そしてエンディング。
言うことなしです。認められて、恋人として町を歩く2人を素直に祝福してやりたい気分になります。
ありがとう、オーガスト。
以上、ヒロインを全員クリアした後に出てくる、リースリット・ノエル。あんさん、あんさん。金髪美幼女ですがな。ええおい?たまりませんがなっ!
立絵を見た瞬間、声優は絶対に北都南さんだと思ったんですが、違いましたねwさて、どの選択肢でも6月25日までは変わらずってことでサクサクとスキップモード。流してる間にも、麻衣の立絵やイベントCGが現れるたびに気になって仕方なかったのはまあ、お約束ってことで。あーもう、ほんと麻衣はいいなあ。
と、リースをプレイしてるんだった。
危なく本来の目的を踏み外すところでしたが。
それにしてもリースの話し方って、無愛想って言うより棒読みのような気がする。まあ、最初に北都南だと思い込んじゃったから、その先入観による違和感が大きいせいかも知れないけど。
シナリオそのものですが、ごめん、これはどうにも「出す必要あったの?」としか思えなかった。麻衣シナリオで終わってた方がよかったんじゃないのか、と。
一言。
「いらない」
先に酷評しておきます。
別に、先が読めてしまうことが悪いわけじゃないんですが、問題はその後。どちらかというと先が読めるシナリオはいいと思います。正統派ってことですから、望むところでもあるので。ただ、例えばフィーナシナリオだったら、山場とするのは月を納得させる仕事がこの後最大の課題として残っているわけで、どちらかと言えばそちらを重点的にした方がシナリオにも厚みや意外性を打ち出せる可能性があったんじゃないか、と。それを敢えてセフィリア女王のことと絡めつつ別シナリオ(夜明け前より瑠璃色な)でやる必要があったのかどうか。
それと、どいつもこいつも正論かよ、という印象が残ってしまうのがどうにも。これは菜月シナリオで例を挙げれば、幼い頃の約束だから菜月が獣医学部へ進学するのはいい。別に先が読めてもここまではいい。シナリオ全体の流れから言っても問題なし。ただ、じゃあ菜月シナリオにおいてはさほど月に関心を寄せていたとは思えない達哉が月学部に拘る理由はあるのか、と。フィーナシナリオと連動しているというのなら構わないんですが、それだと菜月シナリオにおけるフィーナ、逆にフィーナのシナリオでの菜月があまりにも不憫になりません?
とまあそう考えておいて改めて菜月シナリオを見直すと、折角前向きに走ってる菜月に負けまいとする達哉がいるわけですし、それほど進路について考えてない様子だったんだから、そこからしっかり先のことを考えたうえで菜月と同じ大学(だって、獣医学部しかない大学って、現在の日本でも1つも存在しませんよ?)に行くことにした、ってくらいのシナリオでも良かったと思うんですよ。
或いは全体的にコミカルさが他より強い菜月シナリオなら、
「えぇっ?!だって達哉、何か理由があって附属の月学部じゃなきゃダメなんじゃ……」
「いや、俺そんなこと一回も言ってないけど?ただ単に、自宅から通えることと、附属だから進学しやすいってだけで」
「じゃ、じゃあ、附属の月学部に行きたいって言うのは……」
「うん。月を研究したいって方が重要で、別に附属じゃなくても良かったんだ。で、調べてみたら月のことを勉強できる学部って、あくまで月を専門にやる月学部だけに絞らなければ、結構あるのな」
「……で、うちの大学の政治学部、なわけ?」
「星間政治学科は有名なんだぞ、知らなかったのか?」
「知ってたわよ!でも、達哉が附属に行きたいんだとばかり思ってたから」
ってな感じのエンディングでも良かったんじゃないか、と。この辺が、シナリオというか設定の厚みのなさを感じてしまう一因だったかと思います。
で、最大の問題点がリースと夜明け前より瑠璃色なシナリオ。ぶっちゃけ、作りに問題があるとしか言いようがない。そんなにセフィリア女王の失脚と月の説得をやりたいんだったらフィーナシナリオを他のとは全く別と割り切ってシリアス一辺倒でやればいいんじゃないか。
とまあ、先に言いたい放題言いましたが。それでも良作ではあったと思います。
王道です。正統派純愛モノですので、それが好きな人にはお勧めできます。設定に拘る人とかにはあまりお勧めできないかも。それほど大きな山場があるわけではありませんので、物語に起伏の大きさを求めるならばやめておいた方が。
誰かが死んだり生霊だったり動物だったり、そういうのはありませんので、その点では非常にお勧めですwいや、自分がそういうの嫌いなので。あとは……絵のきれいさだけでも買いじゃないですかね。
最初はフィーナしか攻略できません。
フィーナ→ミア→さやか→菜月→麻衣
がよろしいかと。