シナリオ=C|グラフィック=C|キャラ=B|音楽=B|総合評価=C
予科という舞台でどこまでやってくれるのか、楽しみにしていた作品です。軍人を育成するわけですから、当然普通の学園モノのようにいちゃついたり同じクラスでいつも一緒だったりできないわけで、制約は非常に多かったんじゃないかと思うんですよね。
システム周りは快調。オープニングの「風・スタートライン」が非常にいい曲です。アニメーションもなかなか。マウスポインタが銃になってるくらいはよくありますが、クリックすると銃声がw
絵はちょっと不安定な感じがしました。シナリオそれぞれは2〜3時間もあれば終わるくらいですのでちょうどいい長さ。えちぃシーンなしでこの長さをどうとるかは微妙ですけど。
予科に入って軍人を目指している(そこまで積極的ではありませんが)くらいですから、主人公はヘタレていないです。シナリオによって主人公の成績というか、ルート終了後エピローグ時点での階級が異なります。真織では予科卒業時点までですが、優秀な香耶と奈津姫ルートでは出世していて、「ちょっと(?)おばかな小型暴走機関車」鈴莉シナリオでは後から配属されてくる鈴莉よりも階級が下でしかも最前線なのは、それぞれのヒロインに合わせてるんでしょうね。
予科という特殊性を考えれば、それほど大きな山場や問題点も見当たらず。刺々しくて人格に問題のある奈津姫がツンデレなのか、と思えばデレなんて存在しないまま終わるし、鈴莉シナリオなんてEDまで恋人にはなりませんでした。香耶では一緒に——とは言ってもチームのメンバー全員ですが——正規の多脚戦闘車両操縦者No1に挑むというクライマックスはありますが、恋愛モノとして捉えると香耶が先に卒業した後、別段追いかけるわけでもなく偶然再会するという程度ですし、楓に至ってはそもそも未亡人で双子の子持ち、なんとなくそれだけでシナリオは見えてくる気がしますよね。
エピローグに関しては、楓シナリオで唯一結婚まで至ってますが、それ以外では上述の通り拍子抜けという感じが強いです。
それでも予科高等部であるという制約を考えれば、まあこんなものかなあ、とは思えます。それなりにテンポはいいので、最初から軍隊なんだということを念頭において過大な期待をしなければ楽しめるのではないか、と。
奈津姫はちょっと人格に問題ありすぎ。とてもじゃないけど感情移入は無理でしょうねぇ……香耶はちっちゃい先輩、しかも優秀で生真面目な努力家、意外にいけてました。特筆すべきは、ほわほわしてるくせに血みどろもぜんぜん平気な幼馴染の位置にいる衛生科の真織と、おばかな暴走機関車な後輩の鈴莉。この2人は味があって良かったです。
その他のキャラについてはあまり印象に残ってないですねぇ……京とか楓とか藤志郎とか。分隊長の井上は結構面白いやつでしたがw
一風変わったものがやりたい、えちぃシーンはなくてもいい、爽やかなゲームをやりたい、という方にはお勧めです。暗くじめじめした部分がまったくありませんので、明るく爽やかなゲームをやりたい方にはぴったりかも。
但し、期待は禁物。あくまでも軍の予科高等部だということを忘れずに。
例のごとく、最初に詰まらないのをやっておいておいしいところは後にというのであれば、
「奈津姫→楓→京→香耶→鈴莉→真織」
それだと最初からやる気を失うというのであれば
「香耶→奈津姫→鈴莉→楓→京→真織」ですか。
どうしても幼馴染は最後に回したいというのがあからさまですがw
どちらにしても、素直で明るい性格を映して最もほんわかとした、真織シナリオは最後にした方がいいと思われます。