シナリオ=B|グラフィック=A|キャラ=A|音楽=C|総合評価=C
ディスクレス、非アクティブ時稼動(但し、スキップは不可)、設定項目などのシステム面でとりあえず問題はないですが、バックログがホイールに対応していないのは面倒でした。セーブポイントもその時の画面、テキスト、日時まで保存されるので便利ですが、43箇所という非常に中途半端な数はどうしてなんでしょうね。それと、ロードするのにダブルクリックだとわからなくて最初は戸惑いました。
音楽は可もなく不可もなく。動作も軽快でした。樹一郎の声がなかったのは残念だなあ……特に京シナリオでは重要なので、声がないだけで何となくのめりこめなかった感があります。
結構ちゃんと選択肢分岐でストーリーがそれぞれ変わっていく部分が多いので、2年目以降に関して中だるみはそれほどなかったです。1年目、2年目、3年目と3年間でシナリオが進行するんですが、年度の切り替え時に入る町での主人公のモノローグは不要でした。単に混乱するだけのような気がします。
夏休みの田舎を舞台にしているんですが、これは「そらうた」同様いいですね。こういう、夏の田舎モノって、癒されるです。そう言えば「ゆのはな」は冬の田舎ですがw
うーん……微妙。立ち位置が微妙というかキャラのつかみ所がないというか、元気な明希、クールな絢水に比べて今ひとつ特徴がない感じ。シナリオも同様で、旅館を継ぐか歌の世界に入るかという環境から言えば普通の悩みに、その将来の夢を兄に言わなかったが故のすれ違い、ポリープ、と基本的には予想通りで展開。
シナリオが普通なのは別段問題ではないんですが、キャラがたってなかったせいなのか、終わってみれば「あ、終りか……」という感じでした。
明朗快活、3人の中では最も子供らしい明希。それだけに非常にわかりやすい話で、また最もほのぼのとしていたように思います。
2年目の時点で既に「真人と恋人になりたい」と誕生日プレゼントと称してファーストキス……というより唇同士の壮絶なぶつかり合い(真人・談)をあげる明希。ここでも真人はしっかりと考えて軽はずみな行動を慎みます。これを「エロゲらしくない」ととるかどうかはまあ、プレイヤー次第なんですがw
3年目、後はもう真人がどれだけ明希に向き合えるかが焦点になることは明らかで、家族団欒と明希から来ていた手紙を合間に挟みながら展開していきます。とは言え、真人も筆まめなようでw明希からの手紙に律儀に返事を返し、尚且つ手紙はちゃんと鍵つきの(何にしまっていたのかは、説明していた樹一郎が真人によって轟沈させられたので不明)にしまっていた、と。主人公が鈍感でもヘタレでも傲慢でもないってのはほんと、ギャルゲの質を大きく左右しますねぇ。
「こかげ」の新メニュー作り。
開発ナンバー9・アイスステーキ。その名の通り、冷たいステーキ。凍った肉汁のシャリシャリ感が話題に!
……食べたくない。
開発ナンバー14・すいかライス。冷たい酢飯に角切りすいかを混ぜたもの。
……無理っぽい。
ほのぼのまったりとした「こかげ」での日常が過ぎていって、けれども2年目の終りにあった明希の告白がなくなるわけでもなく。どのみちいつかは向き合わなければならない問題は、「こかげ」で開催された真人の誕生パーティー、奏芽の告白と断った真人によって動いていく。
ようやくはっきりした明希への気持ちと2人の関係、そして……まあ、そりゃ、いちおうギャルゲですしw
その後の2人がエンディング後にちょっとだけあるのが嬉しいですね、このゲーム。ただ、明希はまったく別人になってますがw
ツンデレ、ではないけど普段はクールで突き放した言い方、でもふと見せる照れた表情や台詞がタマラナイ絢水。早く大人になりたいからなのか単に家庭の事情で仕方なくなのか、年齢の割にしっかりしていて、母親に容赦なく突っ込みを入れる。そうそう、その雪江さんも、ママンズの中では一番面白い人ですねぇ。
こちらの問題は父親がいないこと、それから同い年なのに入院していたため学年がひとつ下なこと。それらがどう絡んで展開していくのかは実際にプレイしてもらうとして、この絢水シナリオは良かった。物語の起伏の少なさとか、日常のちょっとしたことで少しづつ変わっていくところとかは京と同じなんだけど、絢水のキャラクターのおかげで緩んだ空気はなかったです。
何でもない日常の中で、少しずつ紛れ込んでくる絢水に関しての問題。このシナリオでは前述した町での、というか現在の主人公のモノローグもいいタイミングで差し込まれるので、システムと内容が上手く絡んで消化されています。
雪江さんが毎年、落輪祭に来ない理由、大人になりたいのに隠し事をされていることに気付いて子ども扱いされていると怒る絢水、軽挙妄動せずにしっかりと考える主人公。京シナリオでもそうですが、夏少女では主人公の真人がヘタレていないことが非常に好印象ですね。
クリア後の感想は「このシナリオって、実は家族愛が中心になっていたんだなあ」でした。これはいい、非常にいい話でした。
ほのぼのした日常に埋没しつつ、でもちゃんとシナリオは成り立っている良作ですが……あまりこう、心に残るって感じではないですね。でも、思い出した時にふとやりたくなるゲームでした。残るものがないってことで総合評価がCですけど、ほのぼのさではSランク間違いなし、って感じです。
ほのぼのとしたゲームで癒されたい人には超絶お勧め。逆に、ギャルゲにはエロだろ!という人にはまったくもって完膚なきまでに向きません。
相変わらず、おいしいとこは最後に持ってくってことで、「京→絢水→明希」ですね。