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EVER17劇場。そのいち・そのに

書いたひと。ADZ

EVER17クリア者前提。
ネタバレ全開でお送りいたします。

そのいち。

ある日の学校で、沙羅が休み時間にノートに落書きをしていると、彼女を呼び出す放送がかかった。

「○年×組の倉成沙羅さん、倉成沙羅さん。ご家族の方が来ています。正面玄関に来てください」

はて、家族というと、誰だろう? パパかなぁなどと思いつつ玄関までやってきた彼女がみたものはレミュの着ぐるみだった。
情け容赦なくレミュの着ぐるみがたっていた。
完膚なきまでにレミュの着ぐるみだった。
それは無言でお弁当の包みを差し出し、沙羅は勢いのまま呆然としつつ受け取る。
通りすがりの生徒に「い、いまのはいったい……」といわれても、「忘れて。何も聞かないで」としか答えられない。
「……」
とあるやたらと名前の長い先輩が肩に手を置き訳知り顔でうんうんうなずく。
その後帰宅した彼女は、「何を考えてるんですかあなたはーーーーーーー!?」と叫びながら母親との追いかけっこをはじめたとかなんとか。
そしてその後の彼女の家では「レミュ禁止令」が発令されるのであった。

そして数日後。

またもや呼び出される沙羅。かばんの中を見るとまたもやお弁当を忘れていた。
さすがに今日は大丈夫だろう、とてくてく玄関に向かう彼女。
そこにはパンダがいた。
「また何やってますかあなたはーーーーーー!?」
その日はそのまま追いかけっこ。
ホクトと優秋がとめるまで沙羅さんバーサーク。
鈍重そうな着ぐるみで軽快に回避する姿に戦慄する生徒多数を残して、着ぐるみの人は去っていった。
そして疲れ果てて帰宅した彼女は見る。
「どーだ、父さんと母さんペアルックだぞ〜?」
今度はハムスターの着ぐるみきた両親の姿に、そのばにへたりこむのであった。

その二。

姿見の前で、彼女はお気に入りのそれに袖を通す。
あの場所から彼を救出してから数ヶ月、あれよあれよと言う間に彼女の立場は変わった。
倉成の姓となる事はこの十数年の間で夢見なかったとは言えない事ではあるが、気がついたらそうなっていた、というのはいささか戸惑う。
恋人を飛び越していきなり夫婦。
まあ彼があの場に残されていることすら知らず、大事な息子の子を身篭った女性がひっそりと出産していた上にその子らが高校生にもなっていたのだから、
彼の両親の破竹の勢いでおこなった手続き各種を攻めるわけにもいかない。
けれど、やはり年頃の時期を色々と無為に過ごしたその未において、恋人のような時期というのはいつまでだって夢見てしまう。
そんな彼女に気づいたのか、彼は彼女をいわゆるデートへと誘い出す。
気が付いたらそうなっていた肩書きは忘れて、ただただ恋人のように過ごさないか?
ふだんの芸人気質全開ののりつっこみな態度は鳴りを潜め、どこかあらぬほうへと視線を彷徨わせてそう告げてきた時彼女は思わず涙を一つ。
一も二も無くその申し出を快諾し、兎角普段の彼女を知っていたのならばその場で神に祈りたくなるほどのうかれ具合を周囲に見せながら約束の日を指折り数える彼女であった。


知人S・Aさんの証言。
「ええ、あれにはびっくりしました。なんといいましょぅか、データベース……じゃなくて、私の記憶にあるものと照らし合わせたところ、精神を病んでしまった人なのではないかとおもったほどなんです。ええ。
いや、でも、、こうなったら今がチャンス、倉成先生の恋愛講座の続きでも始めてそのまま規制事実になだれこもうっ!
なんて事はちらりとも考えませんでしたから。ええ、本当ですよ。本当なんですってばっ!」


とまあ、とある海底施設のSEであり観光案内でもある人物が証言するほどにその行動がおかしくなっていたらしい。
さて、話を戻すと彼女は着替えを終えて約束の待ち合わせ場所へと向かう。
その足取りは軽く、彼女の実年齢を知っていれば確実に突っ込みを入れたくなるほど純な顔をして。
そこはとある公園の噴水前。そこには彼女の愛する彼がいる。
今は同じ家に住んでいるけれど、外での待ち合わせがデートの基本と言って早くに家を出た彼が。
ぼんやりと時計を眺めている彼の名を呼ぶ。振り向いた彼に向けて手を振り、軽やかに彼女はその腕に抱きつく。
彼は優しい笑顔にちょっと照れのようなものを浮かべ、それじゃぁいこうか? などといって歩き出す。
穏やかな日差しの中、一組のカップルがその幸せをかみしめていた……

「て、パパ独り占めしたデートだって言うのになに着ぐるみ着てるでござるかあの人はーーーーーー!」
「落ち着いて、マヨっ! 後つけてるのがばれるっ!」
「まるで気にしてない父さんもなんだけど、周りの人たちもなんで気にしないんだろう?」

当然のように覗き見部隊付きで。

「お気に入り? お気に入りなのねやっぱりあのレミュのきぐるみがっ!」
「まあ、紫外線を浴びるのは死に直結しているからねぇ」
「これでショッピングとか言って服じゃなくて着ぐるみやさんに行ったりしたら面白いわね」
「優は気楽に言うね〜」
キュ〜と鳴くチャミを頭の上に乗せて、のんびりとした口調のホクトだった。


そんな平和な一日。

ADZの言い逃れ。

正式投稿すると言っておきながら遅くなりました……
そのさん・そのよんが書き終わらないのでとりあえずここまでを。
短いですね……まあ小ネタですからしょうがないと思っていただければ幸いです。

ではまたいつの日にか……

えばせぶのSSはもっと増えて欲しいらいる的感想

いやほんと、名作中の名作ですから是非SSも増えて欲しいのですよ。
こういう、全然さり気なくないけど本人的にはさり気なく武を狙うS.Aさんとか、きっと中身は思い出のタツタサンドであろう弁当を着ぐるみ着てまで届けにくる純キュレイな方とか。

そしてホクトですら出番はあるのに、名前すら出てこない少ちゃんと優春が哀れw
いやきっと、クワコギはこめっちょの好きな電波系彼女とひよこごっこに勤しんでいるに違いない。それはそれで平和な光景だし、カブラキさん的には本望なんだろうなあ……田中先生はまあ、虎視眈々と狙っているんでしょう。いや何を、とも誰を、とも言わないけれど。

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へどぞー。