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ToHeart2 - それも一つの愛情表現

書いたひと。ADZ

このみと想いを告げあい、早一ヶ月。
気が付けば夕飯はいつもこのみが用意してくれている。
以前はしょっちゅう失敗したりもしていたが、最近はしっかりとしたものを作ってくれる。
いや、たまに変なものも作るがおおむね大丈夫。
一週間で五キロ体重落ちたときはどうしようかとも思ったが。
せめて食器の片付けぐらいは、とも思うのだがこのみがやりたがるというか、俺にやらせてくれない。
どうも世話を焼くのが楽しいらしい。うぐ、自分にはもったいないぐらいの存在だ。
兎角、そんなこのみのようすを眺めていたら、耳が痒くなったので耳掻きを探してみる。
おかしいな、確かここに入れといたのに、と捜して回るも見つからない。
うーむ。どうするか、と腕組みしながら考えていると、このみは食器洗いが終わったようだ。
もしかしたら知っているかもしれないので、聞いてみるか。
「このみ、耳掻き知らないか?」
「タカ君、耳掻きならここだよ〜。耳掃除するの?」
そう言いつつ食器棚の引き出しから取り出すこのみ。何故そこにある?
「ああ、ちょっと耳が痒くてな。最近してなかったし」
素直に答え、耳掻きに手を伸ばすがこのみは耳掻きを見つめて渡してくれない。
「じゃあ、このみがしてあげる」
ぱっ、とこちらを見上げて名案が浮かんだ、という顔をするこのみ。
こ、これは男の夢にしてロマン、恋人にしてもらう膝枕みみかきっ!?
一も二も無くぶんぶんと縦に頭を振る俺。
最近は自分もいい具合に壊れてきたな〜、と思いつつ。
「じゃあ、はい」
このみはそう言ってソファーに腰掛け、そのひざに俺を誘う。
なんかドキドキします。
日頃から走り回っているためか、引き締まっていて細いこのみの脚に右側が上になるように頭を乗せ、今か今かと心待ちにする。
「じゃ、いくよ〜」
このみは耳朶を引っ張り、耳の穴へとその耳掻きを侵入させていく。
ゆっくりと奥へと進み、そして……

みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
「あ、タカ君ごめんねっ!!」
鼓膜突かれましたよ今っ!?
どうにか跳ね上がるのは堪え、事なきを得る。
もしそんな真似していれば鼓膜破かれているところだった。
つーか心臓バクバクいってます。
「ごめんね、ごめんねタカ君っ!」
「イネイヤ、イイカラ。キニシテナイヨ。コレカラキ、キヲツケテクレレバイイカラ」
「タカ君、口調が変だよ?」
気にするでない。い、いいから続けてくれ、な?
「うん」
今度は慎重に耳の穴の壁をカリカリとかいていくこのみ。
ふぅ、やはり人にやってもらうのは気持ち良いな。特に恋人だし。と自分で言ってて照れるけど。
「あれ〜?」
と思っていると、同じ箇所をいつまでもカリカリとかいているこのみ。
どうした、何かあったか?というか取れないのか?
「うん、ここに大きいのがあるのはわかるんだけど、どうしても取れなくて」
無理しなくていいぞ〜、後で自分でやるから。
「でもでも、やっぱりこのみがちゃんと綺麗にしてあげたいよ」
このみ、お前の気持ちは嬉しい。嬉しいけどな、なんか嫌な予感がするんだよ。
しかし、辞めようとはしないこのみ。
「……えいっ!」
ガリッ。
はい、今『カリカリ』ではなく、『ガリッ』といいました。このみが力入れすぎたようですね。ははははは。

うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」
その時俺は、何故か河の向こうで手を振るお爺さんを幻視した。

「で、私が呼ばれるわけね」
「遅くにごめんなさい、タマお姉ちゃん」
というわけで俺が悶絶していると、何故かタマ姉を呼び出すこのみ。
「タマお姉ちゃんならきっとこういう事も上手でしょう。だから、このみに教えて欲しいのっ!」
まあタマ姉ならなんでもこなすから……と思ったけど、何故か絶叫している雄二が思い浮かんだ。何故だ?
「いいわよ、そのくらいお安い御用だし。私の技の伝授の前に、まずはこのみが体験してみるのが大事ね」
そう言ってこのみに膝枕をするタマ姉。ぬ、これは中々の手腕。
まずは耳の溝から綺麗にしていき、それから耳の穴へ。
ゆっくりと確認しながらカリカリとかいていく。
引き出されるたびにティッシュに耳垢を落とし、また戻っていく。
このみなんかもう、うっとりしてるっ!?
流石だ、タマ姉。
そしてラストにふっ、と息を吹きかける。こ、このみがもうふわふわな笑顔だっ!?
「はい、終わり。どう?上手にやると、物凄く気持ち良いでしょう?」
タマ姉が声をかけるが、このみは心ここにあらずといった様子で余韻に浸っている。
恐ろしい、恐ろしいよタマ姉っ!!
「このみ、しっかりしなさいっ!これからタカ坊の左側の耳をやって見せるから、良く見ておくのよ」
「は、はいっ!了解であります隊長殿っ!」
え、俺のやるの?
「当然でしょ、タカ坊。このみにやり方を教えるのよ?このみが私の手の動きを見なくてどうするのよ」
ごもっともです。ですが、その、俺も膝枕されてしまうのでしょうか?
「何当たり前の事言ってるのよ。ほら、はやく」
そう言って俺の腕を引っ張りソファーに座らせ、そのまま頭をその脚に乗せてしまう。
く、こ、このむっちり感っ!?このみとはまるで違う肉付き、柔らかさっ!そして目の前で揺れる大きな膨らみっ!
こ、このみ、俺を、俺を見るなっ!見ないでくれっ!!
これは浮気じゃない、浮気じゃないんだっ!けっしてこのムチムチなフトモモに心揺れてなんていないっ!たわわな双丘に心惹かれてなんていないっ!! と、心の中で叫ぶ。実際の俺は硬直してしまってピクリとも動けなかったのだが。
「…………きっと、これで最後だから」
ん、タマ姉、何か言った?
「何も言って無いわよ。さあ、始めるわよ」
そう宣言すると、俺の耳はタマ姉の技の数々に翻弄され、このみがどれほどの至福を味わったのかを思い知り、この世の天国を味あわされました。

その後、タマ姉の絶技から解放され、しばし放心していた俺。
「でもタマ姉、どこであんな、こう、教わったんだ?」
あんなにうまいだなんて思わなかった。でも、なにか懐かしいものも感じた。
「どこって、昔からあなた達の耳掃除してあげてたじゃない。私が九条院に行くまでは」
そうだったかなぁ?何故か思い出そうとすると、記憶に白いもやがかかったような調子になるし、何故か絶叫している雄二を思い出すし。
俺が思い出そうとしていると、タマ姉は一休みにしましょう、とお茶を入れに行く。いや、それは俺が、と言うとこれぐらいの世話はさせなさい、と言って俺を座らせてキッチンへ入っていく。
「タカ君タカ君」
なにやら小声で話しかけてくるこのみ。なんだ、どうした?
「このみも今思い出したんだけどね。そのね」
そう言いながらキッチンの様子を伺う。
「あのね、あの頃確かね、ユウ君、そのぅ……」
言いよどむこのみ。雄二がどうしたんだ?
「うん、タマお姉ちゃんのね、その、練習台にされてた気がするの」
そーか、それでか。あいつの絶叫したり悶絶してたりな様子を思い出すのは。
「このみ、この事は触れないで置こう。きっと雄二も心の奥底に封印しているはずだ」
「そ、そうだね、このみ達が黙っていれば、きっとユウ君も幸せだよね?」
そう言ってお互いうなずき合う。
「お茶が入ったわよ。まったく、二人は仲いいわね。見てて嬉しくなるわ」
このみとの盟約が結ばれた時、タマ姉が湯飲みが三つ乗ったお盆を片手に戻ってきた。

しばし一服。

「さてと、じゃあこのみ。これから指導してあげるから、タカ坊を膝枕して」
「了解であります」
お茶を飲み終わりしばらくすると、タマ姉はこのみに指示を出す。
いや、俺の耳は既に両方終わっているのですが。
「このみは体験して、観察しただけよ。次は実技。練習しないと何事もうまくならないんだから、今日はガマンしてもう一度やってもらいなさい」
はいとしか言えないなぁ。
それじゃあ頼むぞ、このみ。
「頑張るでありますよっ!」
何故か、背筋に冷たいものが伝い落ちる感覚がする。第七感が、セブンセンシズが逃げろ、逃げろと警告を発する。何故だっ!?
「それじゃぁこのみ、まずは耳の溝を軽く撫でるようにして————」
「えーとえーと……」

物凄く嫌な予感がするんだってばっ!!

「……えいっ!」
ガリッ。

「ノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!?」

「な、何してるのよこのみっ!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」
結局こうなるのかっ!?

しばしの回想から意識を戻すと、ちょうど終わるところのようだ。
愛するわが子の耳掃除をしてやっている妻を見やり、その手際のよさに感心する。
我が子よ、気持ちいいか?その技術は父さんの犠牲の上にあるんだぞ?そんな事を思ったりする。
あの後、何度か痛い思いもしたが、気付けばタマ姉に勝るとも劣らないほどに上達したこのみ。
あ、なんかあの頃の事思い出すと涙が……他にも色々とこう、酷い目に……いや、もう何も言うまい。今は文句の付け所の無い女性になったのだから。
やはり親子なのか、随分と春夏さんに似てきた。……胸以外は。性格も似て来たようで昔と変わらないし。
我が子がおやすみなさい、と言って部屋へと戻って行くのを見送ってから、妻を見る。
「……久しぶりに、しようか?」
そう言ってその膝に俺を誘う。そうだな、頼もうか。

色々と幸せを感じながら俺はその膝に頭を預けて……

「えいっ!」
●△□×☆▼◇@■○☆ーーーーーー!?(声にならない悲鳴)」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」
何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

ADZの申し開き。
……アレ? 郁乃SSの作業してたはずなのに何故かこのみだ。
しかも二番煎じに耳掻きネタ。
貴明相手だと、余計に張りきってしまって失敗しちゃう、そんなこのみで。

兎角、向こうの続編作業中とはいえ、ネタを受信してしまったからには書かずに入られないのです。

ではまた、いつの日にか。

あじのひらきっていうかもうネタがないらいる的感想

このみですよ。
このみですよっ!

いやなんていうかね、ADZさんもようやくこのみの魅力に気づいたというかね、このままこのみストな道へ踏み外して欲しいというかね。
……そりゃないでしょうけどw
さり気なく貴明とこのみが結婚している辺り、さすがに管理人の嗜好を把握していらっしゃる。
それにしても……耳掻きで至福を味あわせるタマ姉、恐るべしw

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へどぞー。