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ルリルリ生誕記念
written by 信周
今日も今日とてナデシコは行く。
軍に嫌われ、さりとて放置もされずにふらふらと。
本来ならありえない、『民間運営』の戦艦という立場に加え、その艦長を筆頭に奇人と変人の集合体という特異な人員構成が、軍という組織には徹底的に馴染まない為にそうなっている。
軍が彼らに割り振った役割は『独立愚連隊』。正規の部隊を送るのは躊躇われるが、放置も出来ない戦域の火消し役としての運用。
ある意味使い捨てとしての扱いであるが、ナデシコに不満は無い。自分達で好き勝手やれる、この扱いを気に入ってさえいた。
そんなわけで現在も、いつもの如く、ナデシコ艦内は日常を積み重ねているのだ。
「ルリルリ、お昼にしましょ」
「あ、はい、ミナトさん」
もう少し待って下さいと言う少女を待ちながら、この子は少し変わったな、と思う。
変わったと言っても、悪い方向にではない。むしろ、良い変化だと言えるだろう。
初めて会った時の彼女は、まさに『人形』という言葉が相応しかった。
それを気にしたミナトは、何くれとなく世話を焼こうとした。
それは、大人の傲慢だったかもしれない。偽善と呼ぶ人間もいるだろう。
だが、それでも、彼女はルリの事を気にかけるのを止めなかった。子供の間違いを正してあげるのが大人の役目だと信じているが故に。
少なくとも、世界というものは辛い事ばかりではない、色々楽しい出来事も起こりうるんだよという事を知る切っ掛けを与えたかったのだ。
そんなミナトの努力にナデシコの雰囲気もあいまって、ルリの雰囲気は少しずつではあるが変わろうという気配が見えてはいた。だが、最後の一歩を踏み越えてはいなかった。
「お待たせしました。じゃあ、行きましょうか」
「そうね」
きちんとした挨拶。
これまでと変わらない光景。
だが、決定的に違うのは、その柔らかさ。その言葉に籠められた少女の感情。
「ん〜、今日は何食べようかなぁ?」
「日替わりじゃないんですか?」
通路を歩きながら、たわいもないやり取りをする。
それは、かつては無かった事で。
「いつも日替わりっていうのも何か癪じゃない? いっその事、ナデシコ食堂の全メニュー制覇でも始めようかしら?」
「いつまでかかるか分からないですよ、それ。ホウメイさん、メニューを次々に作り足しそうですし」
「う〜ん、それもそうねぇ」
ルリの様子が変わったのは、彼女の出生を尋ねに行ったピースランド訪問の後。
彼女の騎士として同行していった青年の様子が変わったのも、その頃だったはずで。
「じゃあ、ルリルリは何にするの?」
「私ですか? 私はお奨めを聞いてから決めようかと」
「アキト君のお奨め?」
「そうですけど……何がおかしいんですか、ミナトさん」
「ううん、何でも」
「……本当ですか?」
「ホントホント」
少女の顔に浮かんでいるのは、僅かな含羞。これまでであれば、浮かぶ事などなかったもの。
歳相応の表情がどれほど自分の放つ光輝を際立たせるか、少女自身はまるで気付いていないだろう。
「あ、ほら、ルリルリ、早く行きましょ。ワタシ、お腹すいちゃって我慢できそうもないから♪」
「もう、ミナトさん……後で追及しますからね」
親しい者しか気付けない膨れっ面。
そんな少女の表情に笑みを返しながら、ミナトはナデシコ食堂のドアをくぐった。
「シェフ、追加分の下拵え、上がりました!」
「あいよ! それじゃ、こっちの鍋を見ていておくれ。煮込みすぎるんじゃないよ!」
「分かりました!」
打てば響くような返答。
弟子の態度に満足しながら、ホウメイは下拵えが終わったという具材を確認する。
ホウメイ自身の仕事とは比べ物にはならないものの、十分に見事な仕事だと言えるだろう。
最近、この弟子の仕事振りが急激に良くなっている事は分かっていた。
彼がこれまで仕事の手を抜いていたというわけではない。それなりに熱心に働いていたし、料理に対する情熱も垣間見えていた。
だが、それだけでは駄目なのだ。好きなだけでいいのなら、プロの料理人など存在する事もないだろう。
プロの料理は、良くも悪くも仕事なのだ。
常に最高の料理を提供したいというのは、まあ間違いではない。だが、『最高の料理』とは一体何なのか?
あの弟子は、それを常に最高の手段で調理する事だと勘違いしていた節がある。
そうではない。そうではないのだ。
無論、丁寧に調理するのは当たり前だし、そうしない者は職業として料理人を選ぶべきではない。
だが、常にそうする事が可能なのだろうか?
答えは、否。
この職場は大量の客を決まった時間内ではけさせなければいけない食堂なのだ。そんな事をしていたら、時間がかかり過ぎる。
食事を提供するという事は、ただ美味しい料理を提供するというだけではない。食事時の『リラックスできる雰囲気』も提供しなければならない。
それなのに、長々と待たされ、苛々した状態で食べる料理が、どれほど手間をかけられていたからとて美味しく感じるだろうか?
いかに手間を省くか。それも、大人数の食を賄う料理人にとっては重要な技術なのだ。
これまでは、ただ決められた通りの手順で機械的にやっていた仕事の端々に彼自身の創意工夫が見られるようになっているのも進歩と言える。その全てが以前より効率良くなっているわけではないが、その無駄に思える過程を踏む事無しに自分に適した方法論を確立する事など出来はしない。
食の職人を目指すものなら一度は通らなければいけない道にようやく辿り着いた弟子に、現時点での及第点を与える。
(やっと、あいつも一人前になろうとし始めたねぇ。いつまでもあのままなら、そろそろ尻を蹴飛ばそうかと思ってたけどさ)
モラトリアムの時期真っ盛りという印象だった少年は、今まさに青年になろうとしている。
その姿を見るのに、例え自分の弟子ではなかったとしても、感慨を抱かないではいられないだろう。
「あ、ホウメイさん。ルリちゃんが来ましたけど……どうします?」
これまで食券の受付をしていたエリが尋ねてくる。
ルリのピースランド行以来、すっかり定着したナデシコ食堂の『決まり事』。
「テンカワ、ルリ坊が来たよ! さっさと応対しな!」
「じゃあ、私がお鍋を見てますね」
ホウメイの声に、エリが気を利かせてアキトと交代しに行く。
すれ違う時に、アキトがエリに礼を言ったようだった。それに頬を赤らめて首を振るエリ。
(おやおや。テンカワに気があるのは、ウチではサユリだけだと思ってたんだけどねぇ。少しは男らしくなってきたからかね?)
そう考えるホウメイの頬は知らず、弛んでいた。そう、まるで一人前に近づいた息子の姿を見る母親のように。
「じゃあ、シェフ、少し外します」
「あいよ。しっかりお相手するんだよ。サービス業の基本は接客だからね」
「はい」
苦笑と共にカウンターに歩み寄るアキトを見送ると、ホウメイは再び料理に没頭し始めた。
ナデシコ食堂のランチタイムは、まさに『戦場』なのだから。
食券受付の席に人の姿がない。
「あら、誰もいないわね」
ミナトの不思議そうな声を聞きながら、ルリは僅かに落胆した自分に驚く。
何を落胆する事があるのだろう? たまたま係の人間が席を外しただけで、すぐに来るのは分かっているのに。そもそも何を期待していたというのか?
「すいません、お待たせしました」
その声が耳を打つ。
特に美声というわけではない、ごくありふれた青年の声。
なのに、その声を聞いた瞬間、ルリの心に暖かいものが広がる。
「いらっしゃい、ルリちゃん、ミナトさん」
やわらかい微笑と共に紡がれるその声は、自覚は無いものの、ルリにとって既に手放しがたいものになっていた。
「アキトく〜ん、今日のお奨めは〜? 私もルリルリもお腹減っちゃって」
「ミナトさん、私は別に」
慌ててミナトの言葉を遮る。何故か、アキトに自分のそうした欲求を知られたくないと思う。
こっそりとアキトの様子を伺おうと、上目遣いで見上げる。
彼は笑っていた。微笑ましいという表情で。その暖かい視線は、ルリにだけ向けられていた。
その視線に気付くと、ルリは顔を上げられなくなった。頬に血が集まっているのが分かる。
「あら。駄目よ、アキト君。レディの顔をじろじろと見ちゃ。そりゃルリルリは可愛いから、見たくなるのは分かるけど」
(何て事言うんですか、ミナトさん!)
心の中で悲鳴を上げるが、現実に出来たのは、一層視線を下げる事のみ。
アキトに変に思われたかもしれないと思うと身が竦んだ。
だが。
「ああ、そうですね —— ごめんね、ルリちゃん?」
すまなそうな声が頭上から降ってくる。
恐る恐る視線を上げると、申し訳なさそうな彼の表情が目に入る。
「ちょっと無神経だったね。女の子がじろじろ見られて気分がいいはずないのに。本当にゴメン」
「い、いえ、構いません」
心底申し訳ないという声に、慌てて否定する。
彼に見られるのには、別に抵抗はなかった。人から構われるのが嫌いだった自分としてはおかしな事だが、そうであるのだから仕方がない。ただ、人目がある所でそうされるのに抵抗があるだけで。
「ところでアキト君、今日のお奨めは? 出来れば、すぐに出てくるような奴がいいんだけど」
何事もなかったかのように、ミナトが一番初めの質問に戻る。
だが、その顔には僅かに笑みが刷かれているところを見ると、確信犯だったのだろう。
それに気付いてルリが冷たい視線を向けるが、気にも留めない。かえって悪戯そうな笑みを浮かべるだけだった。アキトの方はといえば、そんな事に気付きもせずにしきりに首を捻っている。こうなると、一々気にしている自分が馬鹿のように思え、ルリは溜息と共に気分を入れ替えた。
「……そうですねぇ、冷麺なんてどうです? 今日から始めたばかりですけど」
「冷麺かぁ。いいわねぇ、夏だし」
「ええ。出がいいんで、そろそろ品切れかなと思ってたんですが……サユリちゃん、まだ冷麺ある?」
返ってきた答えは、ちょうど二人分残っているとの事。
「じゃあ、冷麺にしようかな。ルリルリもそれでいい?」
そう聞かれてルリは戸惑った。そもそも麺類が嫌いな彼女は、これまで冷麺など食べた事がなかったのだから、判断のしようがない。
そんなルリを見て、アキトが言葉を添える。
「食べた事がないのなら、一度食べてみてよ。ホウメイさん特製だから、きっとルリちゃんも気に入ってくれると思うよ」
「……はい、じゃあ、私も冷麺でお願いします」
そう言うルリの頬には、再び血の色が上っていた。
結局の所、冷麺という料理はルリの嗜好に良く合っていた。
麺類は基本的に駄目なルリだが、ひんやりした麺とトッピングされた胡瓜、中華ハムや錦糸玉子の柔らかな食感の対比、酸味が利いてさっぱりしたツユのおかげか、何の抵抗もなく食べられた。セットでついてきた杏仁豆腐も口直しにはいいように思えた。
「ん〜、おいしかったわねぇ。さすがホウメイさん」
「そうですね」
満足げにお茶をすするミナトに相槌を打つ。これからは、何度も頼む事になりそうだった。
そこへ。
「どうだった、ルリちゃん? 気に入ってくれた?」
お盆を手に持ったアキトがこちらに来ていた。
「あら、アキト君は今からお昼?」
「ええ。一段落ついたんで」
お盆の上には、ミートソースをかけたガーリックライス。典型的な賄い食だ。
「いつもそんな感じなの、お昼?」
「まあ、そうですね。基本的に、余った材料を使って作るわけですから」
二人の間で何の必要もない、世間話のようなものが交わされる。そこには特別に親密なものはなかったけれども、ルリのように口数が少ない少女には口を挟みづらい雰囲気が出来上がっていた。
その事を面白くないと思っている自分に気付き、ルリは僅かに動揺した。
何故そんな事を思わなければいけないのか?
と、その時、ルリの動揺を見透かしたかのように、アキトが視線を向けた。
「そうだ。ルリちゃん、冷麺どうだった? 何か感想があれば聞きたいんだけど」
「え? あ、その、美味しかったです」
不意を衝かれ、しどろもどろに何とか答えを返す。
何の芸もない答えしか返せない自分に失望する。もっと他に答え方もあるだろうと。
だが、アキトはその答えを聞くと、心底嬉しそうに笑顔を見せた。
「そっか。良かった」
その笑顔を見ると、ルリの頬にまたも血が上ってくる。
今日はこれで三度目。
(私、体調を崩したんでしょうか? 今日は妙に熱っぽくなる事が多いけど……)
そう自問するルリを他所に、ミナトが口を挟んできた。
「ねぇ、アキト君。ひょっとして、ルリルリの分だけアキト君が作ったんじゃない?」
「……え?」
「あ、ばれました? 実はそうなんですよ」
ホウメイさんが、一皿だけ作ってもいいって言ったんで、ルリちゃんには悪いけど、俺のを食べてもらおうと。
いやぁ、ルリちゃんの口に合わなかったらどうしようかと冷や冷やしてました。俺のせいで冷麺が嫌いになったらどうしようって。
そんなアキトの言葉がルリの耳をすり抜けていく。
(私の分はテンカワさんが作ってくれたんだ……)
そう思うと、どこか胸がほわっと温かくなったような気がする。
(味なら、ホウメイの作ったものの方がいいだろうというのは分かってる。それなのに、私はテンカワさんが作ったものを食べられて良かったと思ってる。どうして?)
そんなルリの戸惑った様子に、ミナトの目が細められる。
この子はようやく本当の意味で『少女』になったんだと思う。
『人形』から『少女』へ。
それは、いい事ばかりではないが、それ以上に彼女に実りあるものをもたらすはずだと思う。
そのきっかけを作り、今も少女の事を温かい目で見詰めている青年に目をやる。
この青年も、ルリに会う事で『大人』への階段を上り始めている。
ピースランドで何があったのかは知らないが、帰って来た時には以前はあった『甘え』が無くなっていた。
それまで以上に料理に打ち込み、またゴートの話では、彼に格闘術の類を教えてくれと頼み込んできたという。
その時の青年の言葉は。
『俺、強くなりたいんです。ちゃんと守るべきものを守れるぐらいに。ちょっとぐらい殴り合いが出来たところで強い事にはならないっていうのは分かってます。少なくとも、分かってるつもりです。でも、それぐらい出来なきゃ何も守れないって分かったんです』
その言葉で、ゴートはアキトに格闘術を教える事にしたらしい。
ミナトの考えでは、殴り合いなど出来なくともいいとは思うのだが、ゴートに言わせると『テンカワの気持ちは良く分かる。男としては当然の事だ』という事らしい。
……多少納得いかない点はあるが、男と女の感性の差なのだろう。
「へぇ、ルリちゃん、明日誕生日なんだ。しまったなぁ、知らなかったから何も用意してないや」
「いえ、お気遣いなく。今までも特別に何かした事はありませんから」
「それなら尚更だよ。う〜ん、購買部に何かあったかな〜?」
そんな考えを巡らせている内に、アキト達の話はルリの誕生日の事になっていた。
遠慮するルリに、絶対何かプレゼントするといき込んでいるアキト。
ルリの表情には困惑と、微かな喜びが浮かんでいた。
その表情を見れば、何をあげても喜ばれるという事は分かりそうなものだが……。
(まあ、一足飛びに『騎士』になれるはずもないから今回は手を貸すけど、アキト君、まだまだハードルは高いわよ?)
そんな事を胸の内で呟きながら、ミナトは口を挟んだ。
「アキト君お手製の料理でもご馳走したら? 誕生日に相応しいディナーをご馳走するというのは十分なプレゼントだと思うけど?」
「え? でも、俺の料理なんて、まだ人の誕生日プレゼントに出来るほどのものじゃ」
「ねぇ、ルリルリ。あなたはどう? アキト君の料理が誕生日プレゼントじゃ嫌?」
「……え?」
急に話を振られてルリは戸惑った。
誕生日を祝う習慣などなかった彼女にとって、プレゼントなど想像の埒外にあった。
だが、アキトの料理が食べられるのなら……。
「私は、構いません」
むしろ、それが望ましい。
どうしてか分からないけど、私はテンカワさんの作ってくれた料理が食べたいと思ってる。
でも、テンカワさんに迷惑がかかるようなら。
そんなルリの躊躇を見透かしたように、ミナトが追及する。
「ほら、ルリルリはアキト君の料理がいいって言ってるわよ。それとも、アキト君はそんな手間がかかるのは嫌なの?」
「そ、そんな事ないっすよ!」
憤然と答えるアキトに、ミナトの頬がほころぶ。
「それならがたがた言わずに作ってあげなさい。男の子でしょ?」
『男の子』という言葉に不本意そうな表情をみせたアキトだが、すぐに表情を切り替え、ルリに問いかけた。
「ルリちゃん、本当に俺の料理なんかでいいの? ホウメイさんの方がずっと —— 」
「だ・か・ら、がたがた言わずにうんと言ってればいいの、アキト君は!」
「あだだだだだだ! い、痛い、痛いですよ、ミナトさん!」
とうとう堪忍袋の尾を切らしたらしいミナトに頬を抓り上げられているアキトの様子を見て、ルリは思わず笑みを浮かべた。
本当に、この人は私の事を考えてくれてるんだと信じられる。
なら、少しぐらい甘えてみても……いいよね?
少しの躊躇、そしてたくさんの勇気を奮い起こす。
そして、少女は『最初の一歩』を踏み出した。
「私、テンカワさんの料理が食べたいです」
翌日、ルリの夕食は大層豪華なものだったとだけ航海日記には記されている。その時にいつもの騒動が起こったかどうか、その当時のクルーでなければ知る由もない。
だが……。
「ルリ、誕生日おめでとう。今年はフレンチでいってみたんだけど」
「もう誕生日なんて歳でもないですけど……ありがとう、あなた」
その時出来た習慣は、今でも続いているようである。
あとがき
どうも、信周でございます。
……何が書きたかったんでしょう、私(涙)<マテ
何ともまとまりのない文章で、多分これまで発表した中でも一、二を争うほど出来が良くないという自覚はあります。だけど、このあとがきを書いている時点で、七月六日の午後八時……そう、ルリたんの誕生日まで時間がないのです!<サラニマテ
どうも私は大風呂敷を広げたがるというか、色々書きたいという念が強いらしく、最近特にまとまりが良くないですね、反省しなければ……。
本当は、ルリとアキトのらぶらぶ話を書きたかったのですが、私のカラーではないと思い知らされ断念。ならばと、ミナトとホウメイの視点から見たルリ×アキトの流れの発端部でもと思ったのですが……結果は、ここまで目を通していただいた皆様がご覧になったように、無残な失敗に終わっております(乾いた笑い)。
そんなものを発表するなというお叱りもありましょうが、ルリたん生誕記念なのだからと笑ってお許しください(平伏)。
では、またいずれ。
from らいる
3本目の短編です!
らぴす萌えに走りかけた「そこはか〜」を、正道へ戻さんとする、この素晴らしい生誕記念SS。
ルリとアキトだけでなくホウメイやミナトの心情を描き出す筆の冴えは、やはりお見事と言う他にないです。
そう、脇役にスポットを当てる、脇役の活躍の場を作ることだけなら誰にでもできることで、その最も簡便なのは『外伝』でしょう。また、長編ならば幾つかの本数を脇役主体にしてしまえばそれで済むことです。
ですが、短編という短いまとまりの中で、これだけの背景と主人公たちの心情、そして更に脇役にまで筆を向けるというのはなかなかできないこと。
アキトが男になるきっかけや、そうと感じさせる雰囲気の遷移をホウメイやミナトを通じて語らせているのがとても自然で。
何だかんだと言ってますが、要するに「これに勝る生誕SSなし」ってことで。
信周さん、ルリ萌えのあるべき姿を示してき、ありがとうございました(笑)。