シナリオ=C|グラフィック=B|キャラ=B|音楽=C|総合評価=D
ディスクレス起動不可。評価がDなのは、エロで理解できないのがいくつかあったのがw
何と言えばいいのやら。えーと……うん、そう、
エロ。
ひたすらエロ。むしろ獲炉。
ディスクレス不可に非アクティブ時動作不可、既読スキップしても日付変更で解除、は激しく減点ですが、補って余り得るのが「H-Custom」設定。まず「ヘアを描写する(ON/OFF)」はいいとして
「主人公を仮性包茎にする(ON(強く推奨)/OFF)」っておい。
そして「射精位置指定」に「足コキ時の靴下」……凄いな、AcaciaSoft。ここまでやってくれると、別にそういう趣味がなくても「(靴下を)脱がさない」を選んじゃうって。
音楽はそれなり。印象に残りません。オープニングはYURIAで「夏のメロディ」、ごめん、この人好きじゃないので。
このゲームは要するに、「ひと夏の経験」。受験生ですから普通に考えれば○校生なわけで、その割にはこの主人公、女のことばっかり考えてる気がする。大学全入時代と言われてますから現実の高校生(おっと、伏字にするの忘れた)も、そんなものなのかも知れませんが。
前半はテンポ良くシナリオが進み、小さな町のありふれた夏休み前の情景がなかなか気分いいです。主人公たちの会話も楽しいし、主人公がそれほど性欲に焦がれていない。けれども、後半の個別ルートに入ると様相は一変します。
突然(としか思えない)「女、女」になってしまい、告っちゃおうかどうしようかとそんなことばかり考えたりしてます。もちろん、シナリオ毎にその程度の差異はありますが前半との違いが突然すぎて面食らうことしばしば。しかも「H-Custom」設定があることからも明らかなように、えちぃシーンがエロいエロい。主人公とヒロインがSかMのどちらかになるというのは面白い試みだとは思いますが……普通のエロシーンを期待していると「は?」となることは請合い。
主人公にしてもヒロインにしても、非常に刹那的でまったく周りや先のことを考えていない様が、「大丈夫か、おい」と思わず呟きそうになるほどです。
曖昧なままの未来に不安を感じて今に逃げようとする彼らは、それでもよくよく考えてみればそんなものかも知れないと納得できなくもないです。あのくらいの年齢だと、将来設計を明確に描ける子供などほんの一握りでしょう。そしてそれは男女関係においても同じことで、自分の将来すらはっきりと描けない子供が例え恋人であっても自分と自分以外の人間の関係を想像できようはずもありません。
わが身を振り返ってみても、そりゃそうだよなあと思える人であるなら、このゲームのエンディングにも少しは納得するんでしょうね。
受験生であるのに、身近な未来のことをまったく考えなくなっているエンディングには、仮想世界でありながらさすがに心配になりましたが、もしこのゲームが「過ぎ去る一瞬」だけを描こうとしたのであるならば、それは半ば成功したと言えるでしょう。
半ば、というのは物事には限度があるということで。どんなに欲望の大きい子供であっても頭の中がそれだけになるということはなく、現実的な不安感とは漠としてであっても心のどこかに位置を占めているはずだからです。ところが彼らは、夏休み終了時にはもう完全に前半で見せたある程度の焦燥も忘れ去り、それなのに将来への不安感をそこはかとなく感じているという非常に中途半端で曖昧な状態になってしまっています。
なので、半分納得。キャラも、何の前触れもなしに大人しい女の子が突然Sになったりと、何がやりたいのかわからない。……仮性包茎と足コキソックス付きがやりたいだけなんでしょうか?
総括すれば、シナリオは成功も失敗もしていない、平凡なゲームであると言うべきかな。
「原画・しろ」これだけで買おうと思った人はまず買うべきでしょう。この絵でエロが見られるのならそれだけでも価値があると考えるかどうかが最大のポイント……や、それだけじゃなんですが。
マニアックで非現実的なプレイに憧れる人はいいかも知れませんが、絵柄から想像される「ほのぼのさ」を求めるのならば、絶対にやめておいた方がいいですね。
「つぐみ」「蘭」がSになります。それだけを考えて攻略順を決めればいいと思います。シナリオの完成度の低さ順で行くのなら、
蘭→つぐみ→秋→橘花→美夏
になるでしょうか。「刹那」の儚さと子供の焦燥・不安だけを表現したかったのだとすれば、秋と美夏シナリオはそれなりの成功を収めているような気がしますが。