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「はぁ。ほんと、しょうがないわね」
溜息をつく。ここからが本題だ。
「じゃあ、麻奈からの伝言を伝えるわ」

——— 1989年8月16日,水

眠れるわけがなかった。
寝不足なことは確かだろうけれど、そんなことが気にならないくらい……というよりも、そのことに気がつかないくらいに体が先に行きたがっていた。
この坂を登れば、約束の場所に着く。
緑の梢が広がり、海からの風が思い出のたくさん詰まった町を抜けて届く、あの緑の下に。
昼というには早すぎるし、朝というには遅い時間。
太陽はまだこれからの暑さを予想させる程度の陽射しで町に降り注ぎ、プールへ通う子供たちの声が商店街に響く。坂の下ではそれも遠く聞こえ、いやそれも彼の耳には全く入っていなかった。
雲ひとつない青空が、見上げる坂の上に広がっている。
図書館へ通うたびに登っているこの坂が、今日だけはいつもと違う。
坂の下の売店。自動販売機。何も変わっていない。
1977年のあの夏からまったく変わらない坂道。
それでも彼は、いつもと違う感慨を持って一歩を踏み出した。

——— 8月15日,火

「明日の10時、図書館途中の木の下で」
「……それだけ?」
「それだけよ」
あまりにも短い伝言に、彼は呆気にとられた。明日香がわざわざ来たことやその口ぶりからもっと長い伝言なのかと思っていたから。
「短すぎて驚いた?」
「ああ、うん、まあね。てっきり昨日の続きで責められるのかと思っていたから」
「ああ、麻奈が碇君にきらいって言ったこと?それなら責められるってのは違うんじゃない」
「そうかな。僕には、あれは霧島さんに責められていると思っていたんだけど」
「そう受け取れれば上等よ」
明日香は笑っていた。きっと彼女にもわかっているのだ、麻奈がそう言ったことは彼の言った通りの意味であることを。わかっていたからこそ彼を試しただけ。
「人が悪いな、惣流さんも」
「そうかしら」
しれっと言うが、確かに人を試すのはあまりいい趣味とは言えないだろう。
少しだけ反省した彼女の前で、彼は勢いよく立ち上がった。
「帰るの?」
「うん。霧島さんと惣流さんのおかげで、僕が何をしなければならないか……何をしたいのかがわかったから。せめて彼女の墓前に花だけでも供えたいし、そこで謝りたいから」
晴れやかな表情で言う彼に、明日香はけれど意外な言葉をかけた。
「?……どういうこと」
「どういうことって……だから、彼女のお墓の場所だけでも父さんに聞かないと」
「なんで?」
「はい?」
間抜けな会話がビルの屋上を流れていく。何だか空気まで間が抜けた感じがする。実際はただ生温い湿気を含んだ空気だからってだけだろうけれど。
「あ、そうか。碇君は知らないもんね」
「何が?」

「生きてるわよ、彼女」

どんな姿であろうと構わない。
生きていてくれさえするのならば。
それだけで彼は嬉しかった。
もう一度彼女の声が聞ける、もう一度彼女の顔が見れる、そして今度こそ彼女に謝ることができる。
生きてさえいてくれるのなら、彼の後悔も終りの時を迎える可能性があるのだ。
何度も通ったこの坂を登るたびに、胸のどこかが痛むことを感じていた今日までの日々がどんな終わり方を迎えるのか、それはわからない。
彼にできることは彼女に許してもらうことであって、この日々を終わらせることができるのは、彼に許しを与えることのできる彼女だけの特権なのだから。
だから彼は足を早める。
腕時計を見る暇すら惜しい気がするけれども、時間を確認してみるとまだ9時半を過ぎたところだった。このまま行けば40分にはあの緑の下にいるだろう。
待つことくらい、何でもない。
今日までの後悔に苛まされた12年間に比べたら。
何でもないのだ。

——— 1989年8月14日,夜

「はいもしもし惣流……麻奈?どうしたのよ、こんな時間に」
うん、ごめん明日香。悪いとは思ったんだけど明日香しか頼める人がいなくって。鈴原君や相田君じゃちょっとね。
「頼みごと、か。あんまり面倒なのは嫌よ」
大丈夫、ただ伝言を頼みたいだけだから。
「伝言?誰によ。麻奈が直接渡せる相手じゃないの」
渡せることは渡せるんだけど。ちょっと色々あってね、気まずいかなーなんて。
「ふぅん、珍しいわね、麻奈が気まずくなるなんて。で、相手は誰」
碇君。
「碇君?彼と気まずくなるようなことがあったわけ」
まあね。長くなるけど大丈夫?
「ん……今からシャワー浴びようと思っていたから、ちょっと待っててもらえる?そうね、30分くらいでいいわ」
うん、なら掛け直す。
「よろしく。じゃね」

なるほどね、これまた麻奈にしては珍しいわね。はっきり言うなんて。
「だって……そうしないと碇君は気付かないかな、って」
そうかもね。だけど、どうして麻奈が彼の話を聞くことになったのか……んー、その、いったいどういうシチュエーションならそんな話になるわけ?
「シチュエーションって。別に大した話じゃないよ、私がよく碇君を見ていただけ」
それは気付いてたけど。でも麻奈、あんた碇君のこと恋愛感情では見てないでしょ。
「当たり。そういう感情はないなあ、残念ながら」
別に残念でも何でもないけどね。なら、どうして碇君のことを見ていたわけ。
「それを語るには辛く悲しい長編メルヘンドラマが……って、待って待って、切らないでってば。ちゃんと話すから」
……んで?なに。
「いきなり投げ遣りになったわね。あのさ、従姉妹が彼の大学で先輩だったの。同じゼミの」
ふむ、まあ多少の関係はあるってわけね。でもその程度じゃねぇ。
「もちろんそうなんだけど。でまあ、その従姉妹のプライバシーもあるからあまり詳しくは言えないんだけど、まあゼミで色々とありまして」
何となくわかるけど。うん、とりあえずよくわからないってことにしとく。
「ありがと。で、その従姉妹は大学卒業してからどうしても行きたいってことで、看護大学に入りなおして今、碇君のお父さんとその彼女のいる病院で看護婦をやってます」
……なるほどねぇ……ふぅん、鉛は鋳た物とはよく言ったものだわ。
「……明日香、切るわよ?」
ちょっと!あんたが用事あったんでしょうがっ少しくらいは大目に見なさいよ。
「しょうがないわね。でまあ、その従姉妹から頼まれたのよ、碇君の様子を見て教えて欲しいって」
その人は未だ碇君に未練がある、とか。
「それはないんじゃないかな。単純に仕事だからって割り切ってるわけでもないだろうけど」
そうね。それにしても。
「なに?」
どうしてこんな辛い試し方をしたのかしら。
「碇君のお父さんが、普通より相当厳しかったってことかしらね」
厳しすぎると思うけど。12年よ?いくら彼が気付くまでに時間がかかったって言っても、向こうもよくそれだけ待てたものね。失敗する可能性だってあるのに。
「それは……」

——— 1985年8月15日,木

何から何まで白い光景というのはやはり、気が滅入る。
いくら病院だからと言っても、少しは他の色を使うのもいいんじゃないか、もちろんカラーセラピーを信じている訳ではないけれども。
「君かね、この病室の担当になったのは」
振り向いた私の目に、「ここはどこ?」と錯覚させるような大男が立っていた。
薄い色のサングラスに顎髭、白衣を着ていなければとても病院関係者とは思えなかっただろう。少し引いてしまいながらも、何とか私は返答することに成功した。
「は、はい。伊吹麻耶です。あの、碇先生ですね、よろしくお願いします」
「ああ、よろしく頼むよ」
言葉も少ない。そのまま踵を返して病室へ向かおうとするのを、私は搾り出したような声で呼び止める。
「あのっ」
数歩で立ち止まる。ゆっくりと振り返ると、これまた面相に合った低い声で、
「何かね」
ああ、これがほんとうに親子なんだろうかと眩暈すら覚えそうな感覚の中、私は何とか尋ねる。
「あ……あの、碇先生にはご子息がいらっしゃいますか」
間違いないとは確信していた。彼から聞いた事情に合致するから。私の担当患者の名前が綾波玲、主治医は碇厳堂、綾波玲を外に連れ出せるのは当然のことながら主治医である碇先生の許可が必要であり、その主治医自身が外に出すことは何ら問題ない。
状況証拠でこれだけ揃っていれば、どんなに鈍くたって繋がるはずだ。
「ああ、1人いる。だが今はまだ息子ではない」
妙な返事だった。絶縁を宣言したわけではなかったが、彼の受け止め方では完全に親子の縁を切られているような感じだった。だがそれなら、「今はもう息子ではない」であるべきで「今はまだ」というのはちょっとおかしい。
「あの?今はまだ、というのは」
「君は、伸治を知っているのかね」
疑問に疑問を被せられたが、これは先生の方が正しい。親子のことを無関係の人間が聞き出すのは失礼だろう。
「すみません。私、前の大学のゼミでご子息の伸治君と同じでした。それで……」
どこまで話していいのだろうか、ちょっと悩んでしまって言葉を探す。その様子に先生の方が何かしら気付いたのだろうか、さっきよりは柔らかい声で、
「そうか……適任だったのだな」
その声の柔らかさに驚いて目を向けると、微かに微笑んでいた。その表情が何だか彼と重なって、やはり親子なんだということを私は再認識させられていた。
「あれにすべて聞いている、そうだね」
黙って頷く。なぜか言葉での返事を期待されていないような気がしたから。
「そうか。ならば私にも言いたいことはあるのだろう。だがまずは彼女に会ってくれないか。話はその後にしよう」
そう言うと、再び足を進める。私は初めて担当する患者に会う緊張とは別の緊張感を持って、彼の後をついて行った。

挨拶は順調で。私は話にしか聞いていない綾波さんとうまくやっていけると確信した。
同時に、どうしても彼に会わせてあげなければならないという決意も。
「彼女は生きる意欲を失ってしまった」
職員用の食堂で先生は開口一番に言った。病室を出てここに来てから数分が立ち、それぞれの前に置かれた安いアイスコーヒーもだいぶ冷たくなってはいるが。
「あれの母親が私の前に担当していて、伸治のことをだいぶ話していたようだ。それで興味を持ち……いやそんなレベルではないな。彼女の中で伸治は際限なく大きくなってしまった」
仕方なかったのかも知れない。彼女の生まれ育った環境を考えれば、外の世界に興味を持たず、それどころか生きることにすら前向きでなかった彼女が、初めて信頼できる主治医に恵まれ、その先生が話してくれる内容に夢中になってしまうのは。
そして彼の母親である碇唯先生を責めることもまた、できないだろう。
生きる気力も感情も何もかもを失っている彼女に、何とか生きたいという希望を持ってもらうために色々な話をした。それが彼女の世界のすべてになってしまう危険性も考慮した上で、細心の注意を払ってしたのだろうが、それでも彼女の世界をそれで埋め尽くしてしまうことになってしまったことは予測できた範囲を超えてしまっていたのだろう。
「だから最後の手術を前に、彼女の願いを叶えてやりたいと思った」
それは半分は良い結果を、もう半分は悪い方向へと進んでしまった。
彼にぶつけた言葉。
『だいきらい』
初めて彼女がその場の感情に任せて放った言葉が、それだったとは。嫌いになったわけじゃない、ただ他に言葉が見つからなかっただけ。
……悲しい結末だったけれど、彼女の中で思い出が増え生きることを否定はしなくなったことだけは、収穫と言えたのかも知れない。
「術後の経過も問題ない。だが、少しずつ彼女の中で思い出が大きくなり、それにつれて生きる気力は失われていった。恐らく……」
彼への想いが強すぎた。そして思い出は時が経つに連れて大きく美しくなっていく。だから彼女は時間の経過と共に生きる気力を失っていった。もう会えないかも知れない、嫌われたかも知れない、そんな悲しみと一緒に思い返される彼との短い夏の日々。
同時に2つの想いに責め立てられて、彼女は考えることを放棄した。体は治っているのに、心が立ち直れない。そんな日々がもうずっと続いていたのだ。
「だから、君に頼みたいことがある」
「え?」
「あれの……伸治の様子を調べてみることはできないだろうか」
「それは、どういうことですか」
わかっている。いや、ようやくわかった。
先生は、彼の成長を試そうとしている。彼が強くなったか、自分の罪に向き合う強さを身につけることができたのか。そして、彼がまだ彼女への想いを抱いているか。
試すことがいいとは言わない。
ただ、彼と彼女に関しては、これしか手がないということも理解できる。納得はできないけれども。
それでも私はもう、頷くしかできなかったのだ。

彼と。
彼女の時間をもう一度始めるためには。

右手の崖側に生い茂る緑の草いきれが強くなる。
焦る心を抑えながら、できる限りゆっくりと歩く。
もうすぐだ。
いつもの緑の展望台。そこに何が待っているのかわからない。父さんか、霧島さんか、それとも……
それでも。何がそこに待っていようと、今までの日々が終わることだけは彼の中ではっきりと予想されていた。
12年かかった。
それが長かったのか短かったのか、それはわからない。
ただ、言えることは。
そんなにも時間をかけて。麻奈や麻耶に叱られて。明日香に背中を押されて。そこまでしなければ何も気付けず、どうにも動けなかった自分がいかに情けなかったか、それだけだ。
だから、そのことも謝らなければならない。
この先にいる、誰かに。

——— 1985年8月16日,金

「わかりました。でも、何かスパイっぽいですね」
ふふ、そんな麻奈ちゃんの明るさが助かるわ。
「あー、いやぁ……えーと、それはバカっぽいってことですか」
そっそんなこと言ってないわよ、ほんとよ?!
「くすくす……わかってますって。でも、ほんとに私が彼自身に興味を持ったからやるわけでして。麻耶さんの望むようなことを教えてあげられるかわかりませんよ」
ええ、それでいいわ。麻奈ちゃんはあくまでもいつもの麻奈ちゃんのままでいてくれれば。その中で彼自身に興味をもてたら、そこだけを教えてくれれば。……ごめんね、こんなこと言っても結局……
「いいですって。じゃ、気が向いたら電話しますねー」
ありがとう。お願いね。

遠くに霞む瑞穂島。
水平線。
そして、優しい風を作ってくれる木陰。
あの夏の、緑のそよ風。

見えてくる。
思い出のあの場所が。

彼女との楽しかった日々が終わったあの場所。
彼女を傷つけてしまった、後悔の日々の始まりの場所。

梢を広げた緑の下に立つ人影。
あれから12年が経ち、少しだけ大きくなった少女。
もう少女という年ではないかも知れないけれど。
彼の中で、彼女は永遠にあの夏のまま。

人影が大きくなる。
駆け出す。
彼女が振り向く。

懐かしい、あの赤みがかった眼が微笑む。

— 綾波。
— なに。

「ずっと……ずっと謝りたかったんだ」
「いい。私は……あなたを許しているから」
「それでも。ごめん、綾波。それから」
「なに」
「愛している」

「私も。あなたが好き」

あの夏、緑の下で僕たちは。〜re-start,1989〜

ここから、また。

——— 2006年8月16日,水

「父さん、ちょっといいかな」
「どうした、由衣」
「んー、これなんだけど。お祖父ちゃん喜んでくれるかなあ」
彼女が手にしたそれを見て引きつる。
「ゆ……由衣?それはちょっと派手なんじゃ……」
「忘れたの、あなた。還暦のお祝いなのよ?」
妻がエプロンで手を拭きながら居間に顔を出した。
「あ、そうか。ん?なら私たちも用意した方がいいんじゃ」
「用意してありますよ。雄真も」
「お兄ちゃん、何にしたって?」
「秘密って言ってたわ。アルバイトで稼いだから期待しててくれ、って」
その息子は高校の部活で不在だ。熱心なのは結構だが、勉強が少々疎かになっているようなのが彼の目下の悩みでもある。彼女はまったく意に介していないようだが。
「いいな、お兄ちゃん。私も早くバイトしたいー」
「由衣も高校に入ったらね。それまでは我慢なさい」
「はーい。あ、そうだ、ちょっと包装紙買ってくるね」
「気をつけて行って来るんだよ」
「大丈夫、行ってきます」
ぱたぱたと駆けていく娘の後姿に苦笑しながら、庭へと視線を向ける。
去年35年のローンを組んでようやく手に入れた家。小さいけれど庭付で、この辺では生活必需品とも言える車が2台置ける駐車場もある。……色んな事情で1台しかないのだが。
ことり、という音に振り返ると、彼女がお茶を置いて微笑んでいた。
見慣れた笑顔。
でも、この幸せに辿りつくまでに時間がかかった。
「玲」
「なに」
ふ、と表情を消して答える。
昔を思い出して笑う彼に、彼女もくすりと笑って返した。
「懐かしいね、その答え方」
「あなたはそれも好きだ、って言ってくれたわね」
「ああ、そうだね。あの言い方も……全部が好きだよ」
夏の日は始まったばかりだ。
高くなり始めた太陽が庭の芝生を照らす。
小学生だった息子に課していた仕事が日課になってしまい、未だに毎朝出かける前に水をやっていく雄真の姿が浮かんで苦笑する。
「雄真は……どうも融通が利かないのかな」
「あなたに似てるから」
「ひどいな。そんな頑固だろうか」
そしてやっぱり目を合わせて笑う。
穏やかな日々。
波風がないわけではない。
毎日のように行われる息子と娘の言い争いと、仲直り。
仲がいいんだか悪いんだかわからない。
「先生……お義父さまも頑固だから。あなたも似ているのね」
「うーん……」

父、厳堂は唯の面影を抱えながら独身でいた。あれからすぐ、東京の病院を辞めてこちらで開業している。どうしようもないことなのに、伸治が後を継がないことに対して時折文句を言ったりするのには閉口しているが。
由衣は祖母にひどく似ているらしく、あまりの可愛がりぶりに彼らも呆れている。まあ、仕方ないのかも知れない。

明日香は本社に戻り、バリバリのキャリアとして出世街道をあれからも邁進していた。
いや、彼女の仕事っぷりや人柄を考えると、爆走という方がいいかも知れない。
来週、こちらに来るらしいが、営業所長の彼としては胃が痛む。友人として接した方がいいということは彼女の性格から明らかなのだが、どうしても部下として接してしまいそうだ。
その時の怒った彼女の表情が今から、怖い。

麻奈は東京に戻った。
結婚して幸せに暮らしていると明日香からは聞いているが、消息はよくわからない。
ただ、彼女のことだから何処でも環境に適応していそうだ。

麻耶と茂、誠に啓太とはこの間会ったばかりだ。
卒業して16年も経ってから同窓会、というのも普通に考えればどうかと思うが、会ってみて何だかそれが自分たちらしいな、と思ってしまった。

そして。
「ねぇ、綾波」
「なに」
「さっきと同じだよ、それじゃあ」
「だって、碇君だって綾波って呼んだわ」
「うん。何だか懐かしくってさ。……たまにこうして、昔みたいな話し方で話そうか」
「構わないわ」

何だって構わない。
2人でいられるのなら。
あの夏の緑の下で、もう一度始まった2人で。

一緒にいられるのならば。

Also as for what by which it comes,
it is glad that all now is beginning to move and can laugh it as you.
+re-start here...16th,aug,1989-2006+

≪あとがき(という名の相変わらずの蛇足、にもなっていないご挨拶)≫

はい、というわけでお疲れ様でした。
えーと、結局なんだったんだよ、って突っ込みはなしの方向でお願いできれば嬉しいです。……ていうかほんとすいません。
んー、あー、もう書くことないので、これでw

ここまでお付き合い頂いた皆様。
ありがとうございました。