シナリオ=C|グラフィック=B|キャラ=C|音楽=C|総合評価=C
修正パッチは必須かな?でないと、次回予告でクリックしないと音が出ない、そう気づいてクリックすると実はまだ台詞の途中だったりして、つながりが?になったり。
さて、システムなどについてですが、前作「青空の見える丘」での次回予告やSideStoryが継承されています。これは相変わらずいい感じでしたが、前作は語りつくせなかった内容を補完して次回にもつながるようになっていたのに比べ、今回は読まなくてもいい、余計なものが多かったように思います。
オープニングは相変わらずいいです。曲も素晴らしいというほどではありませんが、悪くはなし。セーブポイントの数も含めシステム周りに不都合な点もありません。
特に素晴らしいのは、えちぃシーンが全てSideStoryになっているところ。本編でエロはありません(微エロはあり)ので、これはなかなか気が利いていると思います。こういうやり方って、全年齢版として対応……は流石に無理かw
長すぎ。
面白い部分もありますが、あまりに長すぎるので「もういいよ、話進めようよ」って気になってしまうのがどうにも。ひとつひとつのセンスはいいんですが、それの絡め方に失敗している、というのが共通ルートの特徴です。
会話のリズムもいいんですが、シナリオの展開が悪い。一言で言えばそんな感じ。一歩進んで20歩も30歩も下がっているような、何か出来事があって次の瞬間にはもうギャグになってて……というメリハリあり過ぎっ!が苛つきます。
シリアスな設定にほのぼのやギャグを無理矢理詰め込んだ感が強く、どっちつかずの状態が17話分も続くのでちょっと辛いです。主人公もヘタレていないと言えばそうかも知れませんが、作中でなごみが良く言うように「卑屈」という印象が強すぎる。それと、前作の光一の立場に冬彦がいるんですが、どうにもこいつが微妙。はっきり言えばウザイ。
ヒロインは4人。先輩の観月、お嬢様で幼い頃に何事かあったツンデレ優姫、ダーク不思議系後輩のなごみ、幼馴染(?)というか単なる悪友という感じのつかさ、そして妹の湊。後はそれぞれのレビューにて。
共通ルートはギャグにニヤリとしつつ所によって苛つきながらも個別を期待、そんなところかなあ。
「エロゲの主人公のような立ち回りが、特に一般的な女子との隔絶を生んでいる、とあたしは推理しているけどね」
おおう。何ていきなり自らの存在を否定するかのようなサプラーイズな台詞。
ようやく個別ルートに入ったのでだいぶ期待してしまうわけですが、まずキャラ的には「マリみての蔦子+真美のパパラッチャー気質にあっけらかんとした自由人っぽさと男らしさをかけてみました」で、それだけではアレなのでナイスボディでどうでしょう、かな。
……自分で書いてて訳わかりませんので、これで。
「ほら、突っ立ってないで。股間とか突っ立ててないで、出かける準備を早くしたまえ」
よくあるハプニングでキスしそうになった後、準一が理性でヘッドバッドを喰らわした後、何とか襲わせようとするつかさの台詞。だからと言って、お互いに好きだの何だのという気持ちはない、という。
「あー、全然覚えてないや。体だりぃ〜……股痛ぇ〜」
初体験の直後の台詞がこれっていうヒロインは珍しいw
さて、肝心のシナリオですが、個別に入ってからはもの凄い短さ。歌手を目指すつかさが、文化祭で勤めたDJのことで誹謗中傷にあい歌えなくなる。それを解決しましょうってお話。
書き込みそのものよりも主人公との思い出の曲を流した最後のコーナーについての反応がなかったことが原因だった、ということで急増のバンドを作り卒業式後の会でサプライズイベント。その曲をみんなの前でつかさに歌わせて、終り。
格別悪いところもなく、だけど良かった〜と思えるほどでもなく。なんていうか、ほどほどに良かったかな。
ツンデレ。だそうですが、あんまりそれっぽい感じはしなかったかな?
財閥のお嬢様、というのが今の日本に本当に生息しているのかどうかは不明ですが、とりあえずそれに該当し、もちろんメインヒロインだから共通ルートでのごたごたの中心になります。と、いうことで誘拐だの何だのって話が……あー……うーん。
ぶっちゃけてしまえば、「こんなもんなのかよorz」って感じでした。
あまりに拍子抜けしたので、ネタばれ全開でいきますが、何だかよーわからんうちに2人がくっついて、だけど親の敷いたレールに乗っかったままの婚約者という立場を一端離れたいからってことで婚約を破棄、幸せな生活が……と思った矢先に学園の廃校騒動、しかもそれを決定したのが冬彦で、彼はいつの間にか鈴瀬財閥の跡取りになっており更には鈴瀬が片桐財閥乗っ取りを企んで冬彦と優姫の婚約を……
で、それをみんなの絆で乗り越える、という前作「青空の見える丘」ののか先輩シナリオの焼き直しをしただけです。シリアスなんだかギャグなんだかほのぼのなんだか、全くわからないって共通ルートで感じた違和感はここで絶好調に。
湊との関係を上手く乗り切ったことと、ハッピーエンドだった、それだけでも良かったとしておきましょうかね。
全く気にならないというか、できれば攻略すらもしたくなかったキャラ。もうね、最初からなんかダメでしたねぇ……あなたはネバーエンディングストーリーのファルコンですか?というような髪型とか、声とか言い回しとかそれはもう色々と。
それでもやってみなけりゃわからない、ってことですっ飛ばすってのは流石に無しの方向でプレイしてみたわけですが。
共通ルートでちょびっと、そんで優姫ルートでちょこちょこ出てきた「見えざる手」という恥ずかしいネーミングの黒幕が観月だったという話。観月の死んだ父親の話題が何度か出ていたにも関わらず、ほのぼのとした雰囲気に留め、実際は最悪のテロリストだったということを最後のクライマックスまで隠し通したのはお見事。そのことが、優姫との婚約解消を更に破棄して再婚約させようとする(面倒だな)準一の父親にバレて、付き合いを認められず結局、観月の卒業式に解決は持ち込まれ……
うーん……悪くはないんですよ?でも、どうしてもあれだけ共通ルートで面倒な解説っぽいシナリオで説明してくれた裏側の動きとか言うものが、何だかずいぶんあっさりと扱われるなあ、と。「きみはぐ」みたいに短くて設定もヘッタクレもない、という状況でご都合主義はいいんですが、ここまで共通部で語り込まれると個別ルートのあっさりさが目に付きますね。
とはいえ、これもハッピーエンドだったので、よし、です。
実は一番気になっていたのはこの、なごみだったり。いやもちろん、妹な湊を除いてですが。(ダレもそんなことは聞いてない)
いやまあ、実際のところこういう財閥が何だとかそういう話は好きじゃないんですが、ここまで大仰に書かれたらそりゃ、それなりの描き込みをしてくれるだろう、と。で、優姫でも観月でも期待していたほどではなかったので、ここはなごみに期待してしまうわけでありますよ。とか言いながらも、なごみに関してはデレな展開を期待している自分もいたりするんですけど。
で、結論から言えばさすがに期待を裏切らない出来でした。と。
ツンデレではありませんが、もうね、ダークな不思議系少女が微かにデレるってのはアレですよ、なんてーか、萌えですよ?
普段からは想像つかない台詞を照れながら言うってのはやはりいいもんです、ええ、いいもんですとも。
シナリオの方はと言えば、それなりの方々の暗躍、まあぶっちゃけて言えば冬彦とか観月とかあやや先輩とかが色々関わってるんだなあ、というシーンがあったり、おいおいこれは冒険活劇ですかってな展開がクライマックスにあったり。実は色恋沙汰ってことに関して言えば、中途半端になってしまってる感は否めませんが。ま、観月や優姫シナリオでも言えたことですしね。
家族関係だとか諸々込みで、やはりどうしても描き込み不足ですが、妹のゆとりがちゃんと出てきたり、それなりに消化はしてくれました。というか、なごみのちょいデレが見られただけでも大満足ということでひとつ。
何も変わらないことを望んでいる、クール妹(?)
ここまでのルートでも湊は確実に絡んできましたし、何かこう、特別扱いっぽいですね。その分期待も大きくなるんですが。
義妹(バーチャル限定です)属性と幼馴染属性としてはね。
妹としては珍しいキャラ設定。冷静というかクールというか、兄である主人公の準一に対しても丁寧語を崩さず、けれど家族以外とは更に一線を画した態度を取る、まさにクール妹。
しばらく離れて暮らしていたという、何となくGiftの莉子っぽい設定。とは言え、それが少しだけ表されたと思ったら日常が続き、幽霊騒動の際にその離れて暮らしていた間に何かがあったのではないかという描写があったと思えば、また何事もなかったかのように日常が続き……と、このゲーム全体にいえることですが、どうにも散漫です。
それでも、集中できないテキストをキャラでカバーしつつ、優姫が「最後のデートにしましょう」と婚約を破棄。優姫ルートで湊がいい味出してたように、このゲームはどうも他ヒロインのルートでこそ味が出るという妙な作りですね。
さて、それなのに他の男と遊びに行く湊。兄離れを主人公の湊に対する気持ちを明確にするためのイベントにもって来ましたか。その周辺から、2人が結ばれるまでの間の臨場感はなかなかいいです。ここまで他ヒロインのシナリオで身を引いてきた湊ですから、そういうシーンになると、こう、もうですね、
キタ━( ゚∀゚)━ッ!!
いや、あまりのういういしさにこっちまで(。-_-。)ポッて感じかな。
何にしろ最後までとっておいて、抑圧された妹スキー(バーチャル限定ですってば)の我慢j……願望と妄想を弾けさせるに相応しい展開ではあります。もちろん、くっついたからと言ってすんなりエンディングには行きません。幽霊時の湊の気になる台詞とどこかの少女に向けた謝罪が残っていますので。
で、期待するわけです。
そして、あっさり交わされるわけですorz
いやもう。ネタバレ全開でいきますが、再び夜の学校へ行きそこで出会った少女、ミコトが湊が主人公と会う前、交通事故で自分の代わりに死んでしまったのではないかと思っていた少女だったという、ただそれだけの話でしかないって、どうよ。
しかも、準一にも何かいわくありげな雰囲気で……なんか、前作ファンの期待を裏切るためだけにミコトを出してません?
こうあっさりとスルーされるということは、本当の山場はここではないわけでして。この後に来る、父親からの強制別居宣言、んで翌日にはもう別居で更に翌日には唐突に湊が京都の全寮制女子高に転校。
あまりの急展開に訳がわからず。それでも物分かりよく認めてしまう準一は、さすがにちょっとどうかな、と思いましたけど、観月や亜矢に冷たくされ、つかさに指摘され、冬彦に殴られ、主人公、覚醒。
「もの解りがいいフリして無理して、かっこつけて怒られたんだよ俺」
いやいや、ここまできっちりとクライマックスを描き込んで、しかも冬彦に殴られて雨に打たれながら呆然としているところで優姫さん、コウリーン(キョン風に)してくれるくらいニクイ演出するんだったら、ミコト云々はやはり蛇足だったんじゃないでしょーか?
と、そう思ってしまうほど、この先の展開は良かった。観月、冬彦、つかさ、優姫それぞれの立場や思いってのがちゃんとわかるのは、湊を最後に回したからでしょうけど。
「あんたち極端過ぎるのよ」
「だけど私は、そんなあんたを許してあげる。だから、……また泣いてもいいわよ」
おおう。やはり優姫さん、あなた湊シナリオでの方がいい女じゃないですか?
なぜだ、なぜこんなにこいつらの言動には違和感あるんだ?って疑問をあっさり解決してくれましたよ。どうでもいいんですけど、エヴァのSSを書いているPCで打つと「げんどう」の変換って「ゲンドウ」になりますね。
なごみを除く全キャラが、それぞれの持ち味を活かしてきれいに絡んでくる、いいシナリオでした。自分たちの弱さを認めたうえで、依存でも何でも自分の気持ちに正直に生きようとする主人公の姿勢は好印象。その代わり、後半は湊の影が薄くなってしまいましたがw
いきなりやる気を削いでくれやがりましたよ?
前作とはまるで関係がありません。というか、名前と立ち絵が同じだけの、全くの別人だと思った方がいいでしょうね。期待していたら相当がっくりきます。
え?シナリオですか?う〜ん……
これはどのギャルゲでもほぼ同じかも知れないんですが、結局のところ、彼らは学園(もしくは学院などなど大人の事情により呼称は様々)の中だけという極度に狭い領域で結束しあっているだけなんですよねぇ。
だから、そんな中でヒーローっぽいのがいたり無敵なのがいたりカリスマがいたりすると、それだけで嘘臭さというか痛々しさを感じてしまう。観月と冬彦に「うわ、こいつ痛っ!」と思ったのもその辺りが関係してそう。
ギャルゲの主人公にある程度のテンプレが存在するのも、そういう理由がありそうですね。
全編通して言えるのは、財閥だとか権力争いだ何だって問題よりも、誰をどう裏で動いていたことにするかということに神経傾けすぎて、それ以外のことを放置した結果、キャラのバックボーンが薄くなりシナリオ全体にも上滑り感が出てしまった。これはいかな湊シナリオでも同様で、やはり多少イベントに無理があったように思います。
ぶっちゃけ、優姫と婚約するのは冬彦じゃなくてどこぞのお坊ちゃんでも良かっただろうし、先生が絡む必要性はまったく感じられなかった。亜矢先輩もただの眼鏡っ子属性の寡黙な観月の理解者程度で良かったろうし、要はバランスですよね。ここまで大袈裟な設定にしなければバックボーンも軽く流す程度で違和感を感じないのに、財閥のお嬢様で狙われてて何かしらでみんなが絡んでて……なんて色々詰め込んじゃうから説明の必要性が出てくるわけです。言うなればラーゼフォンのテレビ版みたいな自己満足感だけで終わってしまったという印象が残りました。
そんな中で、陰謀やら何やらをとっととぶった切って、2人の愛情とと他ヒロイン、サブキャラたちとの友情ということだけを軸にした「湊」シナリオは、思い切りよく(権力争いがシナリオの軸になってしまっている「なごみ」が殆ど出てこないくらいに)切り捨てたせいで、他シナリオとの整合性の問題はありますが、前作『青空の見える丘』の良いところを継承できたシナリオだと思います。
とは言え、ここ最近のゲームでは出色の出来だったとは思います。学園モノとしてもちゃんと舞台としての学校を上手く使っていますし、モブキャラにも声がきっちりあてられていたりと力は入ってますしね。
毒舌ななごみと変わった妹設定な湊だけでもやってみる価値はあると思います。また、全てが納得できるハッピーエンドであること、主人公のヘタレ度が低いこともいいんじゃないでしょうか。あまり客観的になり過ぎなければ、設定や背景の不足分も気にならない程度ではないかと。
ただ、前作「青空の見える丘」が気に入ったらから、という理由で選ぶのは危険な気がします。特に、ミコトに期待はしない方が吉。
キャラ、シナリオ共に湊シナリオが群を抜いて素晴らしい。他ヒロインたちの絡み方が、先にこいつら攻略しておいて良かった、と思えるような爽やかさですから、湊が最後なのは決定ですね。
湊—優姫、観月—なごみ、この関わりがありますので組み合わせを外さず。つかさは誰とも関連しません。で、湊を最後ということは、
【観月】→【なごみ】→【つかさ】→【優姫】→【湊】
じゃないでしょうか。