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今回郁乃の出番少ないです。

ToHeart2 - 郁乃との日々・番外編の参

書いたひと。ADZ

 貴明はとある理由で悩んでいた。数日ほど悩み続けたとある放課後、教室であれやこれやと考えている時だった。
 がらり、と音を立てて開かれる教室のドア。そちらへと視線を向けてみると、とりゃ、と掛け声とともに机の上に乗ったちっこい暴君が腕組みして仁王立ち。

「汗臭いぞたかりゃんっ!」

 いきなり何言い出すかなこの人はと思いつつも、今日は体育の授業は無かったから汗はかいてないはずなのだがと思う貴明。

「いや、水臭いぞだった。困ったり悩んだりした時は迷わずこのとっても頼りになる先輩に助けを求めるがよろしかろうって何故に首の後ろの襟掴んであちしを教室から追い出すっ!?」
「いちいち相手すると疲れますし」

 まーりゃんの脇腹を両手で掴んで彼女を机から降ろし、子猫よろしく襟を掴みぶら下げる形で教室から追い出そうとした貴明である。

「最近なんだか達観してきててつまらんぞたかりゃん。で、ここ数日いったいなにを悩んでいたのかねと」
「知らずに来たんですかっ!」
「さあ、この俺様を頼るのだっ! 見事面白おかしくひっかき回して見せるぞ!」
「堂々と言わないでくださいっ!」
「だってよー、さーりゃんが『最近、河野さんが来てくれなくて』とか言っていろいろともてあましてて大変だしよー。主に性欲とか」
「ウソツイテマスヨネセンパイッ!?」

 兎角、その日はお引取り願った。

「たかりゃん、明日は生徒会室に来いよっ!! そしてさーりゃんも交えてのくんずほぐれつだっ!」
「黙れや」

 後日、生徒会室にて。

「河野さん、何か悩んでいると聞きました。私で何かお役に立てませんか?」

 久寿川先輩が何故その事を、と貴明は思ったが良く見ればカオスの申し子が部屋の奥に居やがってくれました。

「たかりゃんよ、こうしてさーりゃんも心配しておる。ここは一人で抱え込まず素直に膝を割って我らと話し合おうではないか」
「膝割り談判っ!?」
「先輩先輩、この場合は腹を割って、ですよ」
「おお、そーとも言うな」
「そうとしか言いませんからっ!」
「よし、では早速このカエルの腹を割って」
「違うから、実際に何かの腹を割るわけじゃないからっ! てかなんでカエルを手にかける必要がっ!?」
「イヤーーー!! タカアキさん(カエルの名前)逃げてーーー!!」
「なんで人の名前をカエルにつけるのかなこの人っ!?」
「から揚げもいいが、スープにも出来るぞ」
「レシピを取り出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「料理は女のたしなみよっ!」
「それがどうしてカエル料理になるっ!?」
「あちしまともに料理できねーし」
「あんた今たしなみとか言ってたよなぁっ!?」
「言葉のあやだ」
「あのー」
「だいたいどこからそのレシピ持ち出したんですか」
「うむ、今は活動停止中のクラブの部室から失敬した」
「先輩、河野さん?」
「んなレシピ使うようなお料理研だかは嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「うんにゃ、お料理研じゃねーぞ」
「ならいったいなんのクラブだっていうんですかっ!」
「オカルト研」
「マテイ。あれですか、うわさの黒魔術だなんだの胡散臭いというか怪しいクラブの」
「うむ。一往あちしが一年のときには活動しとったりしたのだよ。どうみても一人しか部員居ないのになぜか部費は数名分で」
「なんですかそれ」
「幽霊部員がどっさりと」
「いやわかってるのなら幽霊部員なんて辞めさせとけばいいような」
「いやいや。正真正銘の幽霊な部員だ」
「……冗談ですよね?」
「はっはっはっは」
「笑ってごまかされたっ!?」
「まあそれはともかくそこから持ち出したこのレシピっ!」
「いやたぶんレシピじゃなくてなんかの儀式だそれっ!?」
「あ、から揚げはネットで調べた奴だから、スープのが持ち出したやつな。えーと……マンドラゴラってどこにいけば手に入るか知ってるかたかりゃん?」
「まさに怪しいじゃないですかっ!」
「落ち着けたかりゃん。とりあえずさーりゃんが部屋の隅で黄昏とるのをどうにかしよう」
「あれ?」
「くすん、私だけのけ者にして、二人とも楽しそう……」
「せせせせ先輩っ!? のけ者になんてしてませんから、してませんってぱっ!」
「たかりゃん、落ちこんどるさーりゃんを励ますためにこう声をかけるのだ」
「……直感が聞くんじゃないと騒ぎ立てているのですが」
「いいから聞け。『夜使えるさーりゃんのえちぃ写真が欲しい』と、一言言えばあら不思議、さーりゃんのテンション跳ね上がりとっても元気に。お持ち帰りもオーケーだぜ?」
「とりあえず地獄に落ちろあんたはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

どうにかまーりゃんをおとなしくさせつつ、しばし経過。

「それで、結局一体何を悩んでいたんですか?」
「えーとですね、もうすぐ郁乃が、ああ郁乃というのはうちのクラスの小牧さんの妹なんですけどね。今まで入院してたんですが、手術も終わって退院が近いのでそのお祝いに何かプレゼントでもと思いまして」
「まあ、小牧さんの妹さんにですか」
「ええ、それであいつは何を喜ぶかなぁと」
「河野さんからのプレゼントなら、何を贈っても喜んでくれますよ」
「そうですかねぇ。て、先輩は郁乃の事をご存知で?」
「小牧さんにはいつも助けられていますし、妹さんは退院してすぐにではありませんが、当校に編入なさる予定ですし」
「あー、それなら知っててもおかしくないですね」
「でもまだお会いした事はないので、好みとかわかりませんね。河野さんから見ると、どんな印象の方ですか? よろしければ贈り物の参考に教えていただけます?」
「そうですねぇ……いつもむすっとした顔してて口が悪いです。あと姉と比べると眉が太いです、てこれは関係ないですね」
「あら」
「それと性格なんか三回転半ぐらいねじれて捻くれてて、見た目はなんかちっこい……じゃなくて、小柄ですね」
「……」
「そうそう、意外と言うか見たままというか、結構甘党かもですね。あれは食事制限の反動で甘いものを求めてるだけかもしれませんけど、てどうしました?」
「……河野さんは」
「はい?」
「河野さんにとっては、小牧さんの妹さんは大切な人なんですね」
「へ? ちょ、な、どうしてそうなるんですかっ!」
「だって、一見悪口にしか聞こえないような内容ですけど、河野さん自身は優しい眼をしてお話していますし」
「気のせいですよ。郁乃と俺はこう、会うたびに牽制しあうような仲ですから」
「遠慮なく話が出来る相手なんですね。なんだか羨ましいです」
「それは善い方向に考えすぎですよ」
「たかりゃんよっ! 部屋の隅っこでしっかりと話を聞かせてもらっていたぞ。やはりこれは俺様の出番だ!!」
「はいはい、次のプチプチはこれですから今度はあっちの隅っこで潰しててくださいね」
「おー、今度のはまた大きめなシートで潰し甲斐がありそうだ……て、ちっがーうっ! 部屋の隅で一人、端から潰しているとなんだか切なくなるだろっ!」
「先ほどお渡しした三枚をしっかり潰しているじゃないですか」
「うむ。始めると中々やめられなくてなぁ〜、じゃないっ!! プレゼント選び俺にも手伝わせてくれよっ!」
「え〜?」
「うわなんだかすごく嫌そうな反応されたっ!?」
「それは置いといて。まーりゃん先輩としてはどんな思いで手伝いたいと申し出て下さっているんですか?」
「愚問だな。今はまだ我が校の生徒ではないが、いずれは編入してくる以上俺にとっても後輩になるわけだ。すでに卒業している身ではあるが元生徒会長として、可愛い後輩が気にかけている新しい後輩の退院を祝う事に、大それた理由など必要か?」
「その心は?」
「俺も一緒にプレゼントを選んだのだからとそれを理由に退院前に見舞いと称して会いに行き、色々と引っ掻き回したりすればそれは面白い事になるであろうと」
「却下」
「しまったっ!! ついうっかり本音がっ!!」
「久寿川先輩。そろそろ下校時間ですし、プチプチ潰すのは一旦やめて、帰りましょう。話は歩きながらでもいいですか?」
「……あ。これって一度始めると、本当にやめられませんね」
「のぉー! 掴むな、にこやかにさーりゃんと話しながらこめかみ両側から掴んで力入れるなー!! どうせ掴むなら俺の胸を掴んで思いのままに揉みしだいて大きく育ててくれぇぇぇ!」
「先輩。……いっぺん本気で黙れやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「のぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
「河野さん、強くなりましたね。まーりゃん先輩相手にあそこまでやりあえるだなんて……」

 ささらが方向性のずれた感動をしつつ、帰り支度を始めるのであった。

 さて、下校途中になんだかんだでまーりゃんも交えて話は続いた。

「実際どんな物がいいのか見当もつかないんですよね。下手な物だと邪魔になるでしょうし、かといってしょうもない物だと物置に放り込まれてそれっきりとかになりそうだし」
「つまり、贈ったものを普段からいくのんに使っていてほしいのだなたかりゃんは。このむっつりめ」
「誰がどうしてむっつりですか。て、いきなり会った事もない郁乃に愛称……なのかな? を付けないでください」
「いやさすがにいくりゃんだとゴロわりぃし。名前そのままに呼ぶなんてあちしの主義に反する」
「いらん主義ですね。まあとにかく、やっぱりプレゼントした物は大事にしてもらえれば嬉しいですし、それが日用品だったら普段から使っていて欲しいものですよ」
「まあそんなもんだわな。ならば健康を祈願して、ダンベルなんてどうだっ! 後から追加で十キロぐらいまでウェイト増やせる奴。そしていつかはタマンヌと互角に腕相撲ができるぐらいにっ!」
「却下ですっ! というかタマ姉と互角にだなんて何恐ろしい事言ってくれるんですかっ!?」
「夢はでっかく鯉のぼりよりも空高くっ!」
「頼みますから郁乃を変な方向に進ませないでくださいよ」
「保障しかねるっ!」
「胸張らんでくださいっ!」
「あの、河野さん」
「あ、はいどうしましたか久寿川先輩」
「物じゃなくて、思い出というのもいいと思いますよ」
「思い出、ですか。それも良いかもしれませんね」
「例えばですね……水族館にお連れするとか」
「水族館ですか」
「ちょうど今は世界のクラゲさん祭りを開催してますし」
「……それはもしかしてただ単に先輩が行きたいだけなんじゃ」
「そ、そんな事はありませんよ」
「さーりゃんの眼はやたらと輝いとるけどなぁ」
「ですよねぇ」
「きっと今頃水族館では大量のクラゲがゆらゆらと漂っているのだろうなぁ」
「たくさんのクラゲさん……素敵です……」
「なんでそこでうっとりするのかなこの人。しかし、ほんとにどうするかな」
「そこでだ、『プレゼントはお、れ♪』とか言ってそのちょいと貧相な身体をいくのんに貪ってもらうのだっ!」
「まーりゃん先輩。いい加減にしとかないと頭絞りますよ〜?」
「人の頭を両手で挟みこんでいい感じの笑顔のままじわじわ力加えていくのは勘弁しちくれマジ怖いから」
「これがタマ姉だったら片手でこめかみの辺り掴んで『たかいたかーい』てな感じでぶら下げられそうですよねぇ〜」
「いやタマちゃん本気でそれ出来そうだから想像でもやめれ。いやだからね頭が痛いからね、脳が、脳が耳から絞り出るっ!?」
「まったく。あまりふざけてばかりいると、そのうち痛い目見ますよ?」
「もうすでに痛い目にあっとるんだが。なんつーかさー、最近のたかりゃんなんだか横柄だー。待遇の改善を要求するぞー」
「どの口が言うんですかねぇこの人」
「上の口から♪ 下の方のはだな、」
「ストーーープッ! なんだか良くわからないけどそれ以上の言葉は口にしないでくださいっ!!」
「つまんねーな」
「ああ、クラゲさんの集団遊泳……」
「いつまでトリップしてるかなさーりゃんは」
「先輩。久寿川先輩をどうにかしてくださいよ」
「こうなるとさーりゃんは長いんだよなぁ」

 兎角その日はそのまま解散したり。

 そして数週間後。

「貴明貴明、コアラよコアラ」
「そうだな、コアラだな」
「体長六十センチから八十センチぐらいでほぼ夜行性。手の指は五本、指紋もあって主食はユーカリの葉。ユーカリには毒があるんだけど、人間だと盲腸にあたる部分が二メートルもあってそこで毒を分解してるんだって!」
「そうかー」
「でもユーカリの葉は栄養的には大した事ないから、エネルギーの節約のために一日二十時間は寝てるんですって!」
「……郁乃並に良く寝るのか」
「私そんなに寝ないわよっ!」

 ある晴れた休日、とある動物園にて車椅子に腰掛けた郁乃とそれを押す貴明の姿があった。

「向こうにはカバが居るってっ! 英語で言うとヒポポタマス、象に次ぐ陸上大型哺乳類! 牛に近い種類なんですって! 肉も食べるけど基本は草食で寿命はおおよそ三十年ぐらい」
「そーだなー、カバだなー」
「ちょっとちょっと案内図を見てよっ! あっちの方にはアルマジロまでいるってっ!! アルマジロよアルマジロ。ボールみたいに丸まったりして可愛いのよっ!」
「そっかー。ところでやけに詳しいな郁乃」
「……え」
「それになんかもう、凄いはしゃいでるよな」
「……そ、そう?」
「そして指摘した途端顔赤くしつつ額から汗流してあさっての方向に顔むけるし」
「気のせいよ。ええ気のせい。私はただ空を流れる雲を見ているだけ」
「ほほう」
「に、ニヤニヤするなっ!」
「まあまあ。それにしても、なんで詳しいのか聞いてもいいか?」
「コレは、その。入院中まだ視力が落ち始める前に、姉が動物図鑑とか色々と差し入れしてくれた事があって、私動物園なんて来た事無かったから飽きるぐらい読み返してて……て、どうでもいいでしょっ! あんたには関係ないのっ! ほら、とっとと車椅子を押すっ!!」
「そーかそーか。郁乃は念願の動物園に来れて嬉しいんだなぁ。つれてきて良かった良かった」
「ち、違うってばっ! 念願でもないし喜んでも……だ、大体今日はあんたがどうしてもって言うから来たのであって、その、はしゃいでなんかないっ!」

 ははは、と笑いながら郁乃を宥める貴明。
 ささらの水族館という意見を元に彼は色々と思考を巡らせて、動物園に行き着いた。
 貴明はむすっとした顔をした郁乃の横顔を眺めながら、この素直じゃない少女が少なからず喜んでくれているのを嬉しく思い、彼女の希望する動物達のいる方向へと、ゆっくりとその車椅子を押して歩き始めた
今日は郁乃のためにここへとやってきた。郁乃の退院祝いとして。

「で。何故にビデオカメラ片手にニコニコしてるかな小牧さん」
「いやいや、おいちゃんのことは気にせずどうぞどうぞ、観て回ってくだせぇ」
「お姉ちゃん、なんでさっきから私ばっかり写してるのよっ!」
「それはもう、河野君相手に照れてる郁乃があんまりにも可愛くて♪」
「照れてないっ!」
「タカ君タカ君、ジュース買って来たでありますよっ!」
「うん、ご苦労様このみ。……で、なんなんだこの地域限定カルピ○ウォーター・キュウリ味ってのは」
「気になったのでタカ君の感想が聞きたいでありますっ!」
「俺が飲むのかっ!?」
「せんぱ〜い、狸っすよ狸。向こうで狸が仰向けで寝てるっすよ。一緒にどうっすか! もちろんいくのんも一緒で」
「先輩。この後は私の知っている好み焼き屋で二次会はどうだろうか?」

 何故かこのみとその友人たちまで一緒に。

「なんかもうすまん、騒がしくて」
「いいわよ。他の人たちに迷惑かかるほどは騒いでないみたいだし」

 貴明の用意した贈り物は「動物園へ連れ出す」事の他にもう一つあった。余計なお節介かもしれない、それでも貴明は郁乃に友人を得て欲しかったから。

「みんな気のいい奴だし、このみは俺の幼馴染で学校も同じだし。仲良くなれるといいなぁと、思ったりしたんだけどな」
「余計な気回してるんじゃないわよ。あんたが何かしなくったって、私は……」

 言葉の途中でその視線を上げて、郁乃は動物達へと視線を向けた。
 何らか言いかけていた気もするけど、まあいいかと貴明は郁乃が見やすいよう移動をした。
 貴明たちへと声をかけてくるこのみやよっちたち。そのせいか、ささやくような声のそれを貴明の耳が捉える事は無かった。

「……今日はありがとう、貴明」
「……え?」

 何か聞こえた気がして郁乃を見やるが、そこにいるのはいつもどおりの表情で多少頬を染めた少女がいるばかり。

 気のせいかとそのまま車椅子を押して、その日は閉園時刻までみなで楽しんだのであった。

 でもって。

「さあいくのん。退院祝い&歓迎会をしてくれようぞ。具体的に言うと闇鍋でっ! なのでこのあと買い物だ」
「先輩。一往このお話は五月から六月ですよ。そこに鍋というのはきびしいのでは? 」
「判ってないなさーりゃん。多人数で親睦を深めるとなれば鍋なのだよ。季節なんて気にすんなっ!」
「はぁ」
「あと別の方法で親睦を深めるとしたら、廃墟の町でたまたま居合わせた者たちでグループを作り、サバイバルしながら脱出を目指すとか。呪われた洋館からの脱出でも可。こころのちからが勝利の鍵だっ!」
「それは親睦とは違うような」
「とにかくっ! はーやく出て来いたかりゃんよ。俺達今から入っても金勿体ねーんだよ」
「先輩が来る途中でケーキ食べ放題になんてよるから時間がなくなったんだと思いますけど」
「ちっちゃいちっちゃい。起きたのが遅くて朝飯食ってなかったもんでな」
「先輩から私の家に電話がかかってきたのはお昼過ぎてましたけど」
「ささいな事だ」
「それとやっぱり、まだ手作りの物は沢山は食べれないのでお鍋の参加は見送りたいのですけど……」
「だいじょーび。レトルトで何か用意すっから」
「いいのでしょうか」
「気にするな。さーりゃんは場の空気を楽む事だけ考えていればいいと思ったりしてみたり」
「はい、わかりました。……それはそれとして、私も動物園に入りたかったです」
「また今度な〜」
「ナマケモノさんやアリクイさん、見たかったです……」

 そんな感じで動物園出口近くにて待ち構えている者がいる事を、貴明たちはまだ知らなかった。

「ところで先輩。闇鍋って、皆で食材持ち寄って何があるのかわからないもの、ではなかったでしょうか。このあとみんなで買い物してしまっては、闇鍋にはならないのでは?」
「………………ありゃ?」

とりあえずはおしまい。

ADZの言い逃れ。

「郁乃が動物が好きだったり、詳しかったりする」はADZの捏造ですのでご了承ください、と念の為に書き込んでみたり。

こんにちは、ADZです。
なんか色々と申し訳ないですと思ってしまいます。郁乃分の少なさ故に。
とりあえずこのお話は『二つの思い、一つの未来』の1/から少し後の出来事という事で。
当初の予定だと、まーりゃんがここまで出張りはしないはずだったのですがどこでどう間違ったのか。
途中で一度お蔵入りにしようかとも思ったのですが、まあいいやと再開してみたらこんな話になりました。
「掲示板に投下しようかな」とお蔵入りにする直前に思っていたのはここだけの秘密で。
そして本来の「その参」は別の内容だったのですけれども、それはまた別の機会に。

それではまた、いつの日にか。

らいるの言い開き。

いやまあ、確かにこれを郁乃SSと言うには郁乃の出番は少ないわけですが。
でも主題は郁乃なんだし、いいんじゃないでしょうか。とか何とか言いつつ、やっぱりまーな先輩の言動に思いっきり引きずり込まれてしまうんですよねw

いきなり、 「汗臭いぞたかりゃんっ!」 だもんなあ。
いやもう、今回も笑わせて頂きました。郁乃ファンには……どうなんでしょう、物足りなかったんでしょうか?
物足りなかったのだとしたら、いつものように掲示板とかメー(以下略

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