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Like a Butler

Einschätzung

シナリオ=B|グラフィック=A|キャラ=B|音楽=C|総合評価=B

Überblick

はじめに

ひだまり」から「恋する乙女と守護の楯」まで、外れのないAXLなだけに期待が高まります。あ、1つだけプレイしてないのがあるけど。
システムは快調。セーブポイント量も多い(これがないと、AXLのゲームはちょっとしたミスがBAD ENDに繋がるから怖い)けれど、セーブ時のメッセージ変更ができません。サムネイルも小さめなので、後からプレイし直す時はちょっと困るかも。
例の、シナリオスキップがありますから問題ないって言えばないんですけどね。
絵のきれいさ、というか瀬之本さんの原画はやはり最高です。

注意しなければならないのは、ffdshowを入れてる環境の人。オープニングムービーでホワイトアウトしたままグラフィックのみ停止する可能性があります。その場合は、ffdshowのビデオコーダー設定から「DirectShowのコントロール」→「以下ではffdshowを使用しない」で「Like a Butler.exe」を設定しておきましょう。

気になるとすれば、ダリルの声に耳障りなガラガラ声が混じっていたことと、キャラ毎の声の大きさが違いすぎたってことくらいでしょうか。もちろんキャラ別の音量も調整可能です。

共通ルート

ボリュームはたっぷり。日常風景もいいし、登場人物の登場の仕方や紹介もわざとらしくなくていいですね。笑えるとこもあるし。安心して見ていられるのは、さすがAXL。
白馬の馬車はまだしも、牛車のイラストまであるのは恐れ入った。そこまでやられると笑うしかないし。
共通ルートは状況説明と奏が特待生として学校に馴染めるようになるまで。金持ちに迎合してしまったり、自分を変えるのではなく、庶民のままで馴染めるように頑張る奏と和樹。仲良くなれるような努力はするけれど、無理してお嬢様と執事になろうとしない姿勢が良かったですね。
ああ、そうそう、やはり松田理沙の声は特徴的。やっぱ愛佳に見えるよなあ。

ここは残念

立ち絵の種類はそれほど多くないですね。カットインとか、特に六右衛門の切腹シーンなどのCGがあったりと面白かったですが。

お嬢様テンプレートから逃れていないシナリオが多かったこと、ラストが安直すぎて拍子抜けしたシナリオもあったこと、などがもうひとつ残念な点。

それと、これはごく一部の人限定。
和樹が庶民の食事が恋しくなって外で魚を焼いていたり、国防色という表現があったり、随所に川原泉『笑う大天使』の影響が見受けられます。まあ、他のアニメ・コミック等、現在までに出ているおよそすべての「お嬢様と庶民系作品」はすべて『笑う大天使』の影響を受けているので仕方ないっちゃ仕方ないんですが。気になる人は気になるかな、ってくらいです。

御星 更紗

スーパーセレブなお嬢様。執事は双子の兄であり、戸惑う奏や和樹たちを何かと助けてくれる天河由宇。なぜ双子なのに苗字が違うのかってのは本編でどうぞ。そこら辺りの「家庭の事情」ってやつがこのシナリオの核になってますので。
そういう意味では、この手のテンプレートから逃れ切れなかったシナリオと言えるかも。お決まりのように高慢な金持ちお嬢様が、主人公や周辺キャラと馴染んでいって……でも家柄からくる問題で2人は分かれさせられそうになり、ってやつですね。

ただ、そこはもう、お嬢様系ギャルゲにおいて最高の家柄を持つキャラのシナリオとして逃れられない宿命みたいなもので、問題になるのは主人公にそこをどうクリアさせるか、ですから。
その点では今回はまあまあ。ヘタレてもいないし暴走もしていません。印象に残るものがない、と言えばそうですが、変に奇を衒って「えぇぇぇ?」となるよりはマシだと思います。

奏と更紗がきちんと友情を育んでいくので、幼馴染キャラへの救済という部分でも安心してプレイできるシナリオです。

セーラ・アップルトン

アメリカのホテル王の娘。乗馬と決闘が趣味な呼吸するアメリカンジャスティス。執事は、なんでこいつが執事になれたんだ? って感じのテキサスカウボーイ、ダリル・マッケンジー。

とりあえず、共通ルート、最初の出会いの場面で「和樹」が上手く発音できず「かじゅき」とか言ってるセーラがかわいいです。はい。
うん、まあキャラについては言うことなしですね。感情を最初からストレートに表してくるので、ツボってしまう可能性大。そういう意味でも要注意キャラと言えるw

「もうワタシの体は、カズキの成分でできてるんだからねっ」

とか言われて堕ちない方がおかしい。

で、問題のシナリオの方ですが、こちらもまあまあ。更紗と同じくテンプレートから逃げ切れないのは仕方ないわけですしね。父親の絡みで襲撃されるというのはアレです、「恋する乙女と守護の楯」の蓮シナリオに似てます、設定は。父親との葛藤も乗り越えられるよう、きちんと筋の立てられた展開になっていたのはさすがですが、ドタバタしまくってる間に何だか終わってしまった、というのが正直なところ。「ほぇ〜」と見ていたら終わっていた、だけなのでプレイしたなあという充足感は不足気味。

そこまでに作り上げたイメージからプレイヤーが考えるセーラの父親、これが予想を裏切ってくれた性格だったのはよかった。

……つーか、霧子先生?
なんか最後の最後でご自分のことを何て仰いましたっ?!Σ(゚□゚(゚□゚*)

弓野 奏

幼馴染です。このゲームで唯一の、和樹と同じ庶民、しかも住んでたのはアパート。っつっても大家の娘なんですけども。

共通ルート、更紗と竹を採りに行った時の、更紗と奏のシーンには思わず貰い泣きをしそうなくらい良かった。現実にいたらウザそうですが、まあその辺はギャルゲでは言いっこなしですね。
でもまあ、恐らく全ヒロインの中でも最もいい子なのではないか、と思われます。

ただ、いい子過ぎてリアルさが不足していたのも事実。というよりは、子どもっぽく見える。シナリオそのものは庶民であることが他のキャラと絶対的に違うのだから、そこを活かした山場にすればよかったのになあ、という感じ。

「わたし、知ってたもん」
「昔は部屋に1人でいると、ラジオをつけたままじゃなきゃ眠れなかったこととか」
「夜中、アパートの前で、夢中になってリフティングの練習してたりとか」
「うちでご飯食べて家に帰るとき、一瞬悲しそうな顔をしてたこととか」
「いっぱい和樹ちゃんに趣味があるのは、寂しさを紛らわせるためだって……知ってるもんっ」
「今はもう、孤独になれてるのも隠すのもうまくなってるけど、本当は寂しいはずだもん」

和樹が多趣味であったり何でも卒なくこなすことは、他ヒロインのルートでも割と出てくる内容であって。それでもその理由まで触れることができるのは、幼馴染である奏しかいないわけです。
そういう点では、この奏シナリオは本当の意味でお互いの最も深い部分にまで踏み込める唯一のシナリオなんでしょうね。こんな台詞、他のヒロインでは言うことすらできませんし。

それが最大限に活用されていたか、と言われると残念なのは前述の通り。悪くはないんですが、あと一歩が欲しかったというところでしょうか。

秋津原 瑞穂

天才メイド、世が世ならお姫様だそうですが、それは本編で。金髪ツインテールの微ツンデレ、貧乳、毒舌だけど影では主人公たちを応援している。

これで萌えずに誰に萌エロ、もとい萌えろと?

2人の心情は随分丁寧に描き込まれています。立ち絵も。……いや、ぶっちゃけ、瑞穂がメインですか? ってくらいに他とは一線を画していますね。

「あのな……、その自覚のない可愛い台詞をどうかちょっと抑えてくれ……」

理性崩壊寸前の和樹の台詞に、共感できないヤツは人間じゃねぇ。

さて、肝心のシナリオの方ですが、こちらもいい感じです。恋人になってからの2人も初々しくていいし、何より周囲を巻き込んだり巻き込まれたり、ドタバタしていて暗くないのが最高です。更紗やセーラ、奏をはじめとして由宇、ダリル、六右衛門などサブキャラやお嬢様お坊ちゃま1,2のモブキャラに至るまで、全員がいい人に描かれているのはこのシナリオが一番じゃないでしょうか。

忘れかけていましたけど、瑞穂は3年生で。つまり六右衛門と一緒に先に卒業するわけで。これで六右衛門が嫌な主人だったら話の展開も楽だったんでしょうけど、彼もまた瑞穂を家族のように大事に思っており、尚且つ和樹を親友と認めているがために混乱へといたってしまう。
これはいい展開でした。2人の仲を認めるからこそ、和樹と瑞穂を一緒にいさせてやりたい、だから和樹を浦安家の執事にしたいという六右衛門と、性急すぎるし幼馴染の奏との約束(学院を卒業するまで奏の執事となること)もある、とする奏・和樹との対立。や、そこまで深刻なものでもありませんでしたけど。

シナリオとしてもキャラとしても、瑞穂が一番でしたね、このゲームは。

Bad・Normal・Happyそれぞれの各EDについて

今回は「ひだまり」のような惨殺EDとかありません……と、言いたいところですが、やっぱりちゃんとあります。さすがのAXLクオリティOTL
特にセーラと奏のBadは要注意。CGコンプに拘らなければプレイしないことをお勧めします。更紗のは見方によってはNormalと言えなくもない。寧ろ奏ファンなら必見と言えるかも。
瑞穂のBADは微妙ですね……ただ別れるだけですから、そこまで注意しなければいけないという程ではない、というところでしょうか。ですから、瑞穂の場合はBADよりもNormalとTrueの順番が一番の肝ではないか、と。六右衛門が凄くいい人だ、と思えるのはTrue。でもTrueはどうにも最後が結局お嬢様になっちゃうのかよ、というがっかり感もあるので、True→Normalでやるのがいいかも知れません。

笠置 霧子

サブキャラ、と言いたくないくらいに存在感のあった戦うメイド長。その実態はシールド13。懐かしいですね。

もの凄く短いですが、共通ルートから霧子の出番を特に意識して見ていれば違和感を覚えずに楽しめると思います。ですから、もしクリアしたいと思うのであればシナリオスキップを使わずに最初からプレイすることをお勧め。

恋楯をプレイしていない人には訳のわからないシナリオになっていますから、そういう意味ではご注意を。

主人公・奏・サブキャラ

この3つが非常に良かったですね。主人公と奏は学院に流されない、けれど自分たちの生まれ育ってきた過去や環境を否定はさせない、という姿勢がとても良い。サブキャラとルート外ヒロイン達も、しっかりしているので安心してプレイできます。

特に、他ヒロインのルートで幼馴染キャラの心情を思うと……というのがギャルゲの宿命ですが、このゲームではそこもちゃんとケアしてくれています。いやだってさ、幼馴染キャラが個別ルートに入るまで特に主人公を意識していないゲーム(ALMAの香苗、Clover Pointの月音など)ならいいんですけど、そうじゃない時—ALMAの由衣やSHUFFLE!の楓、ほしうたの結衣、Giftの霧乃、そらうたの知夏、Canvasの天音、ToHeart2の環・このみ、などなど、主人公と過ごした時間が長ければ長いほど他ヒロインのルートではどんな想いでいるのか、と思うと微妙なものがありますしねぇ。

Empfehlung

お勧め

共通・個別問わず割とちゃんと学園モノしてます。特に奏ルートではそれが顕著ですね。だから学園ものとしてもお勧めできるでしょう。和樹も奏も、庶民でありながら学院のセレブたちの立場を理解しようともしていますし、だからと言って染まり切ることはきちんと拒否していますから、しっかりした作りになっていると断言していいですね。凡そすべての人にお勧めできるゲームだと思います。

但し、恋楯をプレイした人で、ああいう勢いのあるシナリオ展開を期待している人がいたら、ちょっと注意が必要かも。あれほどには伏線や展開の緩急はついていませんので。

……ちなみに、「賢明」をすべて「懸命」と誤字っていたのは目の錯覚です。そういうことにしておきましょうw

推奨攻略順

各キャラ(霧子除く)にTrue・Normal・Badがあります。

Badの後味の悪さ順では【セーラ>奏>瑞穂>更紗】ですから、前述の通り、セーラと奏はプレイしないことをお勧めします。
True・Normal含めてシナリオ評価順でいけば
【瑞穂True>瑞穂Normal>セーラTrue=奏True>
   更紗True=奏Normal>セーラNormal=更紗Normal】
といったところ。

それを踏まえて、お勧めの攻略順は、

【更紗(Normal→True)】→【セーラ(Normal→True)】
   →【奏(Normal→True)】→【瑞穂(True→Normal)】

ここまでシナリオスキップを使って、最後に(この辺りになると共通ルートは割と忘れてるでしょうし)スキップしないで霧子先生をプレイ。

と、Badはプレイしないことを前提にしておきます。